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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第16章 話合い




「教えてください。さっきまでのこと、組織のこと。そして・・・透さんのこと」

決意の眼差しで沖矢さんを見据えた。

彼は紅茶をカップに注いでポットを置くと、立ち上がって私に向かい合った。そして片手で私の顎を掴み、クイッと上を向かせた。

「聞く覚悟がおありですか?」
「聞いて失うものはありませんから」

そう、私はもう殆ど失っているから。
兄も、透さんも。

その答えを聞いて、沖矢さんが小さく笑って。

「貴女はもう少し、自分を大事にした方が良い」

そう言って顎を掴んでいた手を離し、ソファーへ腰掛けた。

沖矢さんの言葉の真意は分からなかったが、敢えてその言葉については追求せず、私も向かいに腰掛ける。

「さて、何から話しましょうか」

何から、と改めて聞かれるとどこから聞いて良いか分からなくなったが、とにかく今はこの状況をはっきりさせるべきだと思って。

「・・・貴方達の仲間と言われる人に眠らされた記憶が、私の最後です。その後、どうして私はここへ?」

沖矢さんは紅茶を一口飲んだ後、カップを置いてから口を開いた。

「仲間から貴女を眠らせたと聞き、僕が回収しに向かいました。その後、車内で爆発事故が起きた為、最寄りの駅に停車し、下車。そこからタクシーで始発駅まで戻り、僕の車で連れ帰った・・・という答えでよろしいでしょうか」
「透さんには会わなかったんですか」
「ええ、会わないように行きましたので」

あの場に沖矢さんが向かえば透さんとすれ違いそうだが、そんなことが可能なのだろうか。
まあ、透さんが沖矢さんの部屋の前を通り過ぎてから行けばできないこともないが・・・。

「次の質問です。どうして透さんや組織の人間があの列車に乗っていたんですか」
「確証はありませんでしたよ。だから貴女への指示は当日するとお伝えしました」

そう答えて沖矢さんはソファーの背もたれに体を倒した。

「答えになってません、彼らが乗車した理由が知りたいんです」
「おや、すみません」

それはとても謝っているようには見えなくて。
少しだけ怒りの視線を向ければ、効果は無いと言いたげに口角を上げられた。

「彼らはとある女性を消す為に、僕達はそれを阻止する為にあの列車に乗車しました」

とある女性。
透さん・・・バーボンと話していたあの女性のことだろうか。



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