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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第16章 話合い




ーーーーー

・・・カチャカチャと音がする。

薄い意識の中、それだけ感じて。

これは・・・食器同士がぶつかる音。

と同時にいい匂いがして。

・・・透さん、今日は何を作ってくれたんだろう。

そう思いながら音の先に手を伸ばす。

「目が覚めましたか」

その言葉で瞼が開き、完全に意識を取り戻す。

「ひなたさんの夕食も一応作りましたが、食べられそうですか?」

声のする方へ目を向けると、そこには何故か沖矢さんがいて。

それに気付いて勢いよく体を起こし、辺りを見回した。そこは沖矢さんの住む、有希子さんの家で。

横になっていた場所はいつも座るあのソファーの上。

さっきまであの列車に乗っていたはずなのに。
いつの間にここへ帰ってきたのだろう。

「あの・・・っ、どういうことですか・・・」

混乱して沖矢さんへの質問もざっくりしたものになってしまって。

そんな私を見て、沖矢さんは嘲笑うように笑みを浮かべながら、私の前にシチューを差し出した。

「その前に腹ごしらえをしませんか。腹が減っては何とやら、と言いますし」

その言葉で空腹だったことに気付く。
思えば今日一日、何も口にしていない気がする。

目の前のシチューが更に空腹を逆撫でして。悔しいが、今は沖矢さんの言葉に従うことにした。





「・・・ごちそうさまでした」
「お口に合いましたか?」

あの後、沖矢さんが準備をしてくれたシチューを二人で食べた。食べている間はお互い終始無言で。

「・・・はい、美味しかったです。ありがとうございました」

正直、味なんて覚えていないけど。
言葉は取り繕えても、笑顔は取り繕えなくて。

食べた食器を台所へと運び、制止する沖矢さんに無理を言って食器は洗わせてもらった。
何かをしていないといらないことまで考えてしまいそうだったから。

洗い物を終え、先程の部屋に戻ってくると、沖矢さんは呑気に食後の紅茶の準備をしていた。

「・・・沖矢さん」

そんな彼と話をしたくて、傍に立って名前を呼んだ。沖矢さんは私に視線を向け、とぼけたような顔をする。

「どうかされましたか?」

分かってるくせに。

敢えて私の口から言わそうとする性格の悪さを、身をもって感じた。



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