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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第106章 ゼロへ




「その謝罪は、どういう意味で、の・・・」

彼がまだ私を問い詰めようとしたから。
そっと体の距離を縮め、ギュッと抱きしめた。

「ごめん・・・」

どんな意味もない。
ただ、謝ることしかできない。

敢えて言うのなら、私が貴方の前に現れてしまったことへの謝罪かもしれない。

「・・・ッ!」

彼は私の行動の意味に気付いたようだけど。

・・・もう、遅い。

「ひなたッ!!」

彼がいつもどこに銃をしまってるのかは分かっている。

今日は胸元辺りに、公安としてのそれも持ち歩いているようだけど。
それは厳重なホルスターに入っているから。

彼の腰に軽く仕舞われている、簡単に取り出せるそれを手に取ると、素早く彼から距離を取った。

「・・・ごめん」

ああ、思っていたよりも重い。

彼はこの重さを背負って、ずっと戦っていたんだ。

・・・いや、これからも戦うのか。

「・・・ッ・・・」

彼から奪った銃をこめかみに押し付けると、彼は警察官として持っていたもう1つのそれを、私に向けた。

まさか、彼に銃をしっかりと向けられる日が来るなんて。

「ひなた・・・下ろすんだ」
「・・・零がそこから動かないって約束してくれたら」

・・・公安相手に、なんて駆け引きをしているのだろう。

これを持ってしまった時点で、彼は私を逃すことを許されないのに。

「・・・・・・」

そして、察してしまった。
彼が妙に冷静さを保っていることから。

・・・きっと彼は、ほんの少し油断していると。

恐らく、彼は私が。

「!!」

銃の扱いを知らないと思っているのだろう。
だから私は、グッと安全装置を握り込んだ。

そうすれば、彼の目つきは明らかに変わって。
私の考えは確信的なものになった。

「やめろ・・・それを下ろさないと、ひなたが撃つ前に僕が撃つぞ」

・・・ああ、それは。

「撃って」

私にとって本望だ。

「零が、撃ってよ」

確実に、私を仕留めて。




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