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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第106章 ゼロへ




「ここを動かないと、約束できるか」
「・・・っ・・・」

約束。

その言葉が、やけに胸に突き刺さる。
ただでさえ約束を破っているのに、これも破るのかと問われているようで。

「・・・で、できない・・・」

だから最初から、この約束はしない。
したところで、私にメリットも無い。

「・・・そうか」

私の答えを聞いて、彼は寂しそうに一言そう呟くと、静かに部屋を後にしてしまって。

その時の彼の姿も、表情も、何も確認できないまま。

「・・・・・・」

どうしよう。
逃げるべきだろうか。

でもジョディさんからは、隠れていろと言われた。
ここはとりあえず身を潜めるには最適な場所だろうけど。

でも、零が戻ってくるかもしれない。
それは少し・・・いや、かなりマズイ。

・・・どうすれば、良い。

赤井さんに・・・連絡を取ろうか。

「・・・・・・」

逃げよう。
今は零から・・・公安から。

FBIの都合が悪くなると、取引が成立しなくなる。
そうなると赤井さんも危険だ。

そう思って立ち上がろうとしたけれど。

「い・・・ッ」

アバラの辺りが、強く傷んだ。

どうやらかすり傷だけだと思っていたそれは、興奮で痛みを最小限にしか感じていなかっただけのようで。

幸い、折れてはなさそうだけれど。

まあ、これくらいの事は赤井さんから忠告されていたのだから、我慢するしかない。

・・・あれが壊れなかっただけでも、良しとしなければ。

「!」

さっき走ったことが嘘のような体の重さを感じていると、ポケットに入れていたスマホが振動して。

僅かに緊張感を走らせながら画面を開いたが、赤井さんからのメールだったことに安堵した。

それを安堵と感じた辺り、もう彼の傍にいる資格も無さそうだと同時に感じて。

細くため息を吐きながら急いでメールを確認したが、正直な所それには従いたくない指示が書かれていた。

『□』

・・・どこかで見ているのだろうか。
そう疑いたくなるような、指示だった。

彼とのこれには、『待機』の意味があったから。




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