第105章 意図的
「・・・・・・」
赤井さんなら、どうにかしてくれるはずだ。
なんて、投げやりな考えだけど。
今の彼には、もう1人探偵もついている事だから。
それに、公安を頼れない今は、FBIを頼るしかない。
どこかやるせない気持ちの中スマホを強く握ると、思っていたよりも早く、それは振動した。
「・・・?」
慌てて開いたそのメールだったが、そこに私が思っていたような返事は書かれていなくて。
「・・・どう?」
「えっ・・・と・・・」
戸惑いながらジョディさんにメールを見せるが、彼女もメールを見た反応は私と変わらなかった。
『イDnttk〇』
メールにはそう書かれている。
〇は作戦決行の合図・・・ということは、その前に書かれたこれらを実行しろということなのか。
でもその肝心な部分が分からない。
この英語の部分は、どこかで見たような気もするのだけれど。
「これ、カタカナなのには意味があるのかしら?」
ジョディさんにそう言われ、改めてメールに目をやった。
確かに、これはカタカナだ。
でも、イの1文字で思い当たることが何もない。
赤井さんとの暗号も、基本的にはレールフェンスという簡単な暗号か記号しか使用しない。
ということは、別の記号として読むということなのだろうか。
「・・・っ」
どうしよう。
頭が上手く回らない。
・・・いや、これでもよく回転している方か。
それでも何とか無い知識を絞り出してみるが、やはり無いものは出て・・・。
「・・・!」
・・・こないことも、ない。
見覚えのあったこの英語の部分。
ほんの数十分前に、私は確かに見ていた。
ただそれが一部だったから、すぐには気付けなかった。
赤井さんが数十分前に私へ送ってきたあの、靴を脱ぐなという暗号文の冒頭。
それが『Dnttk』だ。
あとはその前についている『イ』の部分だけど。
これも何かの一部だとしたら。