第105章 意図的
スマホの小さなランプが赤く点滅する様子を数秒間見つめ、とにかく今は何とか冷静さを保った。
このスマホにはいくつか機能を入れているが、その内の1つに発信機を見つける機能をつけていた。
スマホを閉じていてもランプで分かる。
音を出さず、静かに見つけることができる。
きちんとしたものに比べると正確性は少々欠けるが、それでも気休めにと入れていた。
「・・・如月さん?」
「だ、大丈夫です」
それが今、反応している。
「・・・・・・」
とにかくジョディさんとキャメルさんに伝えなければと、人差し指を口元に当て、喋らないように彼らへ、ジェスチャーで伝えた。
もしかすると盗聴器がある可能性もあるから。
「・・・?」
彼らはとりあえず私を見ると、今度は視線だけでどうしたのかと尋ねてきた。
急いでスマホのメモ画面を開き事情を説明すると、ジョディさんとキャメルさんは互いに目を見合わせて会話をした。
その後、ジョディさんは自身のスマホに何かを打ち込むと、私にそっとその画面を見せて。
一連の流れが書かれたそれを読んで理解すると、彼女の目を見て、分かったと頷いて返事をした。
「・・・・・・」
とりあえず、どこに発信機が仕掛けられているのかを確認する。
それが車なのか、物なのか。
それによって対応は変わるから。
キャメルさんは運転をしつつ、ジョディさんと私は車内をくまなく探した。
ただ、車内に仕掛けられた様子はどこにも無くて。
「・・・・・・」
ジョディさんと顔を合わせると、お互い首を振って成果が無いことを伝えた。
考えられるとすれば座席のシート内か・・・もしくは。
「・・・・・・」
考えられる場所をジョディさんに合図すると、彼女は助手席からキャメルさんの袖を確認した。
ただ彼女からの返事は変わらなくて。
でも・・・袖でないとすれば。
「!」
後部座席からキャメルさんのスーツを掴むと、襟の辺りをひっくり返して。
折り返されたそこには、小型ながら性能には申しぶん無さそうな発信機が隠されていた。