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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第105章 意図的




「・・・っ」

こういうのは勢いでするしかない。
覚悟を決め、小さく息を吐くと体を浮かせて。

目深に被っていた帽子を軽く上げると緊張感は最高潮に達して。

彼の肩に手を置くと、ほんの少し触れるだけのキスを、彼に贈った。

まるで事故のようなそれだったが、これも立派なキスだと開き直るように顔を背けて。

そのまま顔を上げられずにいると、彼から漏れ出るような小さな笑いが聞こえてきた。

「・・・まさか、口にしてくれるとはな」
「!」

はめられた。
・・・そうとまで思ってしまった。

確かに彼からはキスを要求されたが、口に、とは言っていない。

ズルい、と思わず顔を上げれば、少し満たされたような彼の表情がそこにはあって。

それを見れば何も言えなくなって。

そして同時に、罪悪感をも感じて。

彼のこの感情を、私は奪おうとしている。
今、与える事ができたのに。

覚悟はできていたはずなのに。
決意が、揺らいでしまう。

・・・ダメだ。

「よし、次だ」
「つ、次?」

彼は突然立ち上がると私の手を引いて立たせ、来た道を掛け戻った。

不思議と、来た時には感じた怖さを帰る時には感じなくて。

寧ろどこか幻想的にすら感じた。

ーーー

「食器?」
「ああ、ひなたが選んで欲しい」

車を暫く走らせ、ショッピング街近くの駐車場へ停めると、歩きながら彼に部屋に置くそれを選んでほしいと頼まれた。

「これから生活するのに必要だろう?」

・・・これから、か。

もしかして、わざとそういう事を口にして私の反応を見ているのだろうか。

「そうだね」

もう実はFBIとの取引について、知っているのではないかとすら思ってしまう。

赤井さんがバラすとは思えないけど。

零ならどうにかして、情報を得そうだから。




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