第104章 終って※
「ひぁ、あ・・・っ」
彼の片手が背中を撫でるように滑ると、ゾクゾクとした感覚に勝手に背中が反るように伸びた。
体はこんなにも温かいのに。
どうして彼の手はこんなにも冷たいのだろう。
でもその冷たさが好きで、安心するのだけど。
「ンん・・・っ、ふ・・・あぁ・・・!」
この体の傷は、正義の為に負った傷なのか。
それとも、その正義に負わされた傷なのか。
私はその傷を治すことはできないけれど。
増やすことのないようには、できるだろうか。
「っい、あぁ・・・!!」
背中を滑り降りていった手は、背後から秘部の方へと伸ばされて。
卑猥な粘着質な音を立てながら、指がナカを掻き乱した。
「もう溢れてきてる」
「だめ・・・、零・・・!」
分かってるから。
言わないでほしい。
指をナカで、動かさないでほしい。
本当は駄目なんかではないくせに。
彼を静止させるような言葉ばかり出てしまう。
「ンん・・・っ、あ・・・」
キスが欲しい。
理性がボロボロになってくると、とにかく彼が欲しくてたまらなくなる。
肩に付けていた額を剥がすと、トロンとした溶けきった表情で、本能のまま目でキスが欲しいと訴えた。
「・・・可愛い」
彼の指がどれ程濡れているか。
自分の中からどれ程溢れているか。
そんなものは見なくても分かるくらいに、音が響いてくる。
「んぅ、ン・・・っく・・・」
欲しがっていたキスを与えられても、体は満たされるどころかもっと貪欲に彼を欲しがった。
まだ足りない。
もっと欲しい。
段々と気が狂うほどに、彼を求めていて。
「・・・い、ぁ・・・あぁっ・・・!」
絶頂が近くなると、体は痙攣するようにピクピクと震えてしまう。
きっと彼の指を、ナカで締め付けてもいる。
彼もそれを手で、体で、私の声で、察しているはずで。
・・・察しているからこそ。