第104章 終って※
「え・・・ッ」
「ゆっくりで、構わない」
自分の言葉が、悪い方に返ってきてしまった。
そういう意味でのゆっくりではなかったのに。
それに。
「ゆっくりじゃ、零が・・・」
苦しくなるだけではないのか。
それも、気掛かりで。
「僕はひなたの声を聞いたり、可愛い姿を見たいだけだ」
・・・言葉としては何も変では無いのに。
今、この状況でのその発言は、かなり危うい。
「・・・嫌なら、構わない」
そしてまた、そんなズルい声で意地悪な事を言う。
嫌なんて言えない。
・・・嫌なんて、言わないけど。
「嫌じゃ・・・ない、けど・・・」
「けど?」
まだ、私にだって。
「・・・見られるのは、恥ずかしい・・・」
羞恥はある。
互いに一糸まとわぬ姿になっていながら何を言っているのがとは思うが、それ以上の恥ずかしさがそこにはあって。
「恥ずかしくなければ良いんだな?」
・・・少し、違う気もする。
恥ずかしくなければというよりは、見られなければ・・・という気もするけど。
「ひゃ、あ・・・っ!」
それを訂正する暇は与えられなかった。
一瞬の戸惑いと言うべきか隙を見せた瞬間、彼の舌が私の鎖骨を這った。
擽ったさと何とも言えない感覚に体を震わせては、悲鳴のような声を上げてしまって。
「恥ずかしさなんて、忘れてしまえばいい」
「・・・ッ」
暗示するように。
洗脳するように。
少し低い声で耳元で囁かれると、恐ろしくも体は順応していって。
「ひなた」
「ッ、や・・・!」
耳に唇がギリギリ触れる位置。
そんな所から囁かれると、彼の吐息でおかしくなってしまう。
その上に、彼の手が胸の膨らみに添えられると蕾をキュッと優しく摘んで。
「っ、零・・・あ・・・っ!」
体をピタリと寄せると、彼の肩辺りに額をくっ付けて。
そのまま彼の腕を掴むように手の力を強めては、体は完全にスイッチが入ってしまったのを感じた。