第15章 謎特急
「ここで暫く待機してください。次に彼と会って捕らわれでもしたら、貴女の目的は果たせなくなりますよ」
それは沖矢さんの言う通りで。
さっきも沖矢さんがいなければどこかに閉じ込められていた可能性だってある。
「・・・分かりました」
とにかく今はその時が来るのを待つしかなかった。
「僕はちょっと用がありますので。何かあればすぐに連絡をしてください」
「あの・・・有希子さんは・・・」
「彼女もいずれ戻ってきます。その後の指示は彼女に従ってください」
もう何が何だかよく分からなくなってきた。
早くこの時間が過ぎれば良いのに。
苦しくて苦しくて仕方がない。
「・・・そんな顔をするな」
「・・・・・・っ!」
いつもの沖矢さんの口調や雰囲気とは違う言葉に思わず彼を見た。どこが出ているオーラのようなものも、普段と違うように見える。
「逃しはしないさ」
自信に満ちた言い方。
何を、と尋ねたかったが声が出なくて。
「では、僕はこれで」
最後にそう残して彼は部屋を出て行った。
今のは一体何だったんだろう。
逃しはしない・・・組織の人間のことだろうか。
・・・それとも。
それ以上は考えることすら嫌になって、必死に何も考えないように外へ視線を向けた。
室内の席へ腰掛け、何気なくスマホを開く。全く気付かなかったが、そこには一件のメールが入っていて。
コナンくんかと思い、慌ててそれを開いた。
『最寄り駅に停車したらすぐにこの場から離れてください。できるだけ遠くに。』
透さんからのメールだった。
働かない頭を動かす為に、何度も何度も文章を読み返した。
後半はよく聞いていなかったが、さっきのアナウンスでそんなことを言っていたような気もする。そもそもどこに向かっているのかも私は知らないけど。
このメールが来たということは、私が探っていることがバレて、これ以上関わらせない為・・・と考えた方が自然だと思った。
つまりそれは、透さんが何かに関わっているとほぼ断言できて。
その何かは、組織かそれ以外のものか分からなかったが、私はそれを調べにきたのだ。
半分得た確証に目眩がするようだった。