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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第103章 これで※




「や、じゃ・・・ない・・・」

押した彼の服を掴みながら、顔が熱くなっていくのを感じる。

それはお酒のせいか、それとも。

「・・・知っていた」

ああ、意地悪だな。
いや、私が悪いのか。

でもそれがこんなに心地好いなんて。

本当に不思議で、ズルい人だ。

「ひゃぅ・・・っ」

そっと耳に口付けられた瞬間、何とも情けなく、間の抜けた声が漏れた。

自分でも、こんな声が出るのかと驚く程。

「ひなたの体、全部熱い」

知ってる。
熱くて熱くて、息が上がる。

それはきっと、お酒のせいで。
そう、しておきたくて。

「・・・他に言いたい事は、無かったのか」

耳元でそう囁かれた瞬間、色々と察してしまった。

彼が何を言って欲しいのか。
沖矢さんと二人で飲んでいた部屋の扉の前に、彼がいつから居たのか。

今、こんな時に。

・・・察してしまった。

「・・・っ」

沖矢さんと二人で部屋に居た時、姿と声こそ沖矢昴だったが、口調は赤井秀一だった。

けれどそれが突然、沖矢昴になった。
あの時から零が、工藤邸に居たとすれば。

「・・・す・・・」

本人に言った方が良い。
ではその本人を呼んでほしい。

彼の居ない所では、そう強がっていたのに。

いざ、その時が来れば怖気付いて。

「・・・す?」

促してくる。
そこからつい、目を逸らしてしまう。

あの時なら、言えたのに。
何故あの強気な態度は、戻ってきてくれないのか。

「すごく、嫌い・・・っ」

好き。

たったその二文字が言えなくて。

素直じゃない、面倒くさい自分だけが残って。

自分でも分かる。
可愛げが無いと。

「それは残念だ」

クスッと笑う彼に、心臓をチクリと刺されるようで。

すごく、悪い事を言ってしまった気がする。
今更と言えば今更だけれど。

それでも罪悪感は段々と、強くなっていって。

「ひなた」

・・・まただ。

彼は何度も私の名前を呼んでくる。

それもまた、罪悪感を大きくさせる。




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