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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第103章 これで※




「・・・ひなた」

やめて。
そんな声で、何度も呼ばないで。

彼が・・・。

「・・・零」

欲しくなるから。

「どうした?」

モゾっと布団を被ったまま体を起こすと、顔だけをそっと出して。

それでも意地か、恥ずかしさか、後ろめたさからか、彼の目を見ることはできなくて。

「お水・・・ほしい・・・」

視線は落としたままか細くおねだりをすれば、零は黙って水の入ったコップを手に取った。

「・・・口、開けて」

皆まで言わなくても分かってくれる彼に、流石だなと思いながらも、強請っておきながら彼の命令には素直に従うことはできない自分がいて。

「・・・ッ・・・」

だが彼はそれに構う事なく、先程と同じように顎を上げて口付けると、少量の水を私へと流し込んだ。

・・・本当は、水が欲しい訳じゃない。

欲しいのは水なんかじゃなくて。

「ん、ぅ・・・んン・・・っ」

彼のキスが欲しいだけ。
それは零も、勿論分かっていて。

だから胃に流れるはずだった水が、殆ど口の端から零れても、気にはしない。

ただ互いの舌を、絡め合うだけ。

長く貪るようなキスの後、彼からも僅かにお酒の匂いがするようだった。

「・・・相当飲んだな?」
「飲んでない・・・」

実際は、どれくらい飲んだか覚えていないけど。

自分が飲めばこんなに面倒くさくなる事も、初めて知った。

「本当にこっちまで酔ってしまいそうだ」

そう言いながら、零は私を味わうように、何度も深くキスを繰り返した。

「ン・・・っ、や・・・零・・・っ」

本当に、食べられているようだ。
そんな感覚の中、彼の指が耳をなぞって。

敏感に感じるそれにピクピクっと肩を震わせると、触れていた唇を離すように顎を引いて、彼の胸板を強く押した。

「・・・嫌か?」

結果的には、拒むような格好になってしまった。

でも拒んでいる訳ではなくて。
ただ妙に恥ずかしくて。

変に意地が勝ってしまって。

「・・・ッ・・・」

触れてほしい、けど。
素直に甘えられなくて。




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