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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第103章 これで※




「ひなたの言いたい事、全部聞かせてほしい」
「・・・・・・」

潜った布団の上から、重みを感じる。
彼が優しく抱き締めているのか。

沖矢さんが、コナンくんの事を魔法使いみたいだと言っていたけど。

今ならあの意味が分かりそうだと、ふと感じて。

「・・・嫌い」
「・・・・・・」

でも、酔いというのは恐ろしいもので。

素直になれる人間もいれば、素直になれない人間もいる。

どうやら私は、その両方・・・それも悪い部分だけを、持っているようだ。

「零なんて、嫌い・・・っ」
「・・・そうか」

違う。
そんな事を言いたいんじゃない。

「連絡くれないし、ポアロも辞めさせた・・・っ」
「・・・悪い。奴らの監視があった上、ベルモットがひなたを探し回っていたんだ」

そんな事が、聞きたいんじゃない。

「零は・・・勝手だよ・・・」
「そうだな、僕は勝手だ」

そんな事・・・ないのに。
好き勝手、そして言いたい放題しているのは私なのに。

「僕がひなたを欲したから、手放さないから、巻き込んだから・・・ひなたに辛い思いをさせた」

私だって、欲して、手放すなと言って、自分から巻き込まれに行った。

それらを受け入れたのは、私なのに。

「すまなかった」

・・・そうやって、また。

「謝らないでよ・・・っ」

零が悪くない事は分かっているのに。

自分がかなり面倒くさい人間になっていることも、十二分に分かっているのに。

「・・・他に言いたいことは」

彼の言葉全てに、何故か怒ってしまう。

「大っ嫌い・・・ッ」

こんな自分は、嫌いだ。

「・・・僕は、ひなたが好きだ」

それなのに、彼はいつもの様に優しくて。
それが逆に、私を締め付けて。

「顔を、見せてほしい」

本当は抱きつきたいのに。
おかえりって、言いたいのに。

沢山、触れてほしいのに。

「ひなた」

言いたくもないことは簡単に言えるのに。
言いたいことは一つも言えなくて。

涙でぐちゃぐちゃになった顔を見られたくなくて。

布団を掴む手の力を、グッと強めた。



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