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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第103章 これで※




「それは、本人に言ってあげた方が良いのでは?」

・・・そんなの、言えるならとっくに言ってる。
その本人が居ないのだから、言えるものも言えない。

「じゃあ、呼んでくださいよ」

できるなら。

そんな挑発的な態度になるのは、やはり
お酒のせいだろうか。

「・・・だそうですよ」
「?」

沖矢さんは、優しく私の頭を一撫ですると、私ではない誰かに声を掛けるように言葉を発した。

それに疑問符を浮かべながら上半身を僅かに浮かすと、部屋の扉がゆっくり音を立てながら開かれて。

ぼんやりとした明かりの中、そこに立っているのが誰なのか。

そんなのは姿をはっきり見なくても分かった。

「お望み、叶いましたか?」

沖矢さんの言葉で察したのは勿論だが、何より。

「・・・零・・・」

彼の、匂いがしたから。

「できれば、ノックが欲しかったですね」

今日二度目のその言葉を口にすると、沖矢さんはもう一度、私の頭をそっと撫でて。

「それは失礼」

いつもの様に、少し挑発的な口調で言いながらこちらへ近付いてくると、彼の姿が月明かりで照らされた。

それがすぐ目の前まで来ると、大き過ぎる威圧感に、さっきまでの眠気と酔いが薄れていくようで。

「ひなた」

・・・ああ、怒っているな。
名前を呼ばれるだけで、それが分かるくらいには表に出ていた。

でも、怒りを覚えているのは彼だけではない。

「僕以外の男の前でそんな可愛い姿を晒したのは、許せないな」

私だって、怒っているはずなのに。

「!」

ベッドで上半身を上げた状態の私の頬にそっと触れると、そのまま後頭部に手を回してグッと引き寄せられて。

「大変可愛らしかったですよ。酔った彼女も」
「・・・・・・」

抱き締める力が強まると、彼の匂いも強くなって。

・・・寂しかったはずなのに。
怒っていたはずなのに。

それを覆い隠すように、包んでくる。

「お世話になりました」

零は沖矢さんにそれだけ伝えると、私をいつもより乱雑に持ち上げた。




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