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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第103章 これで※




「・・・・・・」
「何か言いたげだな」

シーツをクシャッと引き寄せながら体を丸めると、沖矢さんはその隣へ徐ろに腰掛けて。

「・・・言いたいですよ。零にですけど」

今、苛立っているのはきっと、沖矢さんと零を重ねているからだ。

こんなにも寂しいのに。
こんなにも苦しいのに。

彼は連絡をして来ない。
挙句、ポアロは勝手に辞めさせられている。

・・・分かっている。

それが仕方がない事も、そうするしかなかった事も。
分かっている。

でも、説明が欲しかった。
一目でも会いに来てほしかった。

とりあえず、一言でも。

「連絡、してほしかった」

シーツを握る手に力を込めると、その皺と同じ様に眉間に皺が寄って。

「彼に怒っているのか」

怒って、いる。
怒ってはいるけど。

だから重なって見える沖矢さんにも、苛立ちを覚えているのだろうから。

でも、それだけではない。

「・・・わかりません」

怒ってるのか、一方的に寂しがっているだけなのか。
頭の中は、ぐちゃぐちゃで。

・・・でも。

「零は優し過ぎるし、過保護だから」

だから、こういう結果になったのだと。
そうは・・・思ってる。

「・・・そうですね」

突然、彼の口調が沖矢昴になった事に違和感を覚えながら、その横顔へと目をやって。

顔は作り物でも、目は彼のものだ。
その目は悔しくも綺麗で、強い信念を持ったものをしている。

・・・でも、零だって。

「零だって目は綺麗だし、顔も整ってる」

突然何を言い出すのかと、沖矢さんはこちらに視線を向けてはクスッと笑って。

「今度は惚気ですか?」

顔にかかる髪を優しく指先で退けられると、沖矢さんの顔が髪越しではなく、鮮明に目に映って。

「惚気です」

さっきのは、紛れもないそれだ。

苛立ってはいる。
苛立っているけど、その苛立ちはきっと。

「好きなんです」

好き、だから。

だから連絡がないことも、寂しいことも。

零が重なる沖矢さんにも。

苛立ってしまう。




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