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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第103章 これで※




「どうして、急に?」

今までお酒を勧めてくることなんて無かったのに。
昼間に続いて二度も。

想像はできないが、赤井さんも嫌な事があれば、こういうものに頼るのだろうか。

「ボウヤにはできない事だろう?」
「そう、ですけど」

あまり答えになっていないな、と口を尖らせながらも、何だって良いかと吹っ切れて。

「ここにいる間、君は殆ど笑顔を見せないな」
「?」

・・・それは、前にも似たような事を言っていたな。
零とそれで、喧嘩紛いな事をしていたような気もするけど。

そこまで私を笑わせたいのか。

「ボウヤには、簡単に見せるが」

グラスに氷とバーボンを入れると、それを私に手渡しながら、そう言ってきて。

「やっぱり、聞いてたんですね」

そのグラスを受け取りながら、何となく立ち聞きされていた事への確証を得た。

「何の事だ」

一応彼もはぐらかしてはきたが、わざわざ私に言ってくる辺り、拗ねの様にも見えて。

少し彼らしくない一面に、心の中だけで笑いを漏らしては、バーボンをグッと胃に流し込んだ。

「・・・どうするつもりなんですかね」

ふと、零の事を考えては、言葉が漏れた。
公安にとって私はかなりのお荷物だ。

ポアロも辞めさせたとあれば、どこかに監禁でもされるのだろうか。

「ここまで民間人である君を巻き込んでしまった以上、彼らもタダでは済まない」

それはそうだ。
もう既にタダでは済んでいない。

それはFBIも同じで。

「でも近い内に、解放されますよ」

これから公安が、私というリスクを背負わないようにするのは簡単な話で。

今までは如何にその方法を取らないようにするか、という話だったけど。

「・・・外さないでくださいよ」

彼との取引が実行されれば。

「勿論だ」

私が消えてしまえば。
それだけで済むのだから。

ーーー

沖矢さんと何でもない会話をしながら数時間が経った。

「飲み過ぎていないか」
「・・・そんな事、ないです」

ヤケ酒。
そんな言葉がピタリと当てはまる飲み方。

こういう事をしたのは・・・初めてだった。

何杯目か分からないグラスを手にする私に、沖矢さんは水の入ったペットボトルを差し出すが、そんなものは必要無いと、そこから顔を背けて。



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