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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第103章 これで※




「大丈夫ですよ、少しですから」

そう言って、沖矢さんは私の分の紅茶にブランデーを少し混ぜ込んだ。

・・・その、大丈夫じゃない。

コナンくんが心配しているのはきっと、お酒のことなんかじゃなくて。

それは私も沖矢さんも分かった上で、敢えて口にはしないけれど。

「・・・昴さん、今は赤井さんでも良いんじゃないの?」
「そうだな」

コナンくんのその提案に、沖矢さんな首元のチョーカーに手をやると元の声に戻してみせて。

「それで、赤井さんも僕に話があるんでしょ?」

更なるコナンくんの質問に、口角をグッと上げた。

「ああ。あの一件でボウヤには世話になったからな。礼を言っておきたかった」

・・・あの一件。
それは私には分からない話だけど、きっと知らなくて良い話。

「助かったよ、ボウヤ」
「僕だけの力じゃないけどね」

コナンくんと赤井さん、互いの信頼関係は目に見えないものだけど、確かにそこにある事は感じる。

それが酷く羨ましく思うのは、何故だろう。

「事件を解決する能力も然ることながら、君は別の能力も身に付けているようだな」

そして、そう言葉を続ける赤井さんに、コナンくんと私は同じ様に小首を傾げて。

「探偵というより、まるで魔法使いのようだ」
「・・・?」

魔法使い。

コナンくんの事をそう表した事に視線で説明を求めたが、それ以上は言葉を寄越さなかった。

ーーー

「少し、どうだ」

その日の夜。
あれからコナンくんとは何でもない会話をして、自分の家を後にした。

やはり、会話は気を紛らわせてくれる。

彼が帰って一人になった瞬間、それを強く実感させられた。

そんな中、窓の外の月に目をやっていると、沖矢さんから突然そう提案された。

「・・・バーボン」

彼の手には、グラスとバーボンと書かれた酒瓶があって。

思わず、その名を見入ってしまった。

「嫌いか?」
「いえ・・・」

普段は飲まない。
こういう時に、お酒を頼るのもいけないと分かっている。

けど、そうでもしてないと。

「いただきます」

また泣き虫に、なりそうだから。



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