第15章 謎特急
「えっと・・・どこだったっけ・・・」
そう言えば部屋の位置は分かるが、車両番号は聞かされていなくて。コナンくん達の部屋に行った時は、手を引かれるがまま向かった為、よく覚えていない。
「・・・聞くしかないかなあ」
「お困りですか?」
ため息混じりに何か目印になりそうなものをキョロキョロと探しながら、沖矢さんに連絡するか迷っていると、突然背後から声をかけられた。
その声を聞いた瞬間、背筋が凍りついて。
ゆっくり、恐る恐る振り返る。
「・・・と、透さん・・・?」
そこには彼の姿があった。
いつもと雰囲気の違う服装にドキッとしながらも、別の意味でも心臓が強く脈打って。
「どうして、ここに・・・」
「それはこちらの台詞ですね。ご友人はどちらへ?」
まずい。
蘭さん達と来ているというのは無理があるだろうか。
かと言って沖矢さんやコナンくんと来ていると言う訳にもいかないし。
必死に答えを探すが、全てを見透かす彼に下手な嘘はつけない。
「は、はぐれてしまって・・・車両番号を聞いてなかったのでどうしようかと・・・」
「ご連絡はされたんですか?」
「まだ、です・・・」
透さんがポケットに手を入れたまま、私に一歩一歩近づいてくる。その見えない圧力に押されるように、小さく後退りをした。
怖い。
何故かそう思った。
さっき会いたいと一瞬でも思った自分を殴ってやりたい。
「透さん・・・?」
私の目の前で立ち止まり、数秒間無言で見つめ合って。
いつも通り、私は透さんの目から視線を外せなかっただけだが。
「そのご友人に、僕も挨拶させて頂けませんか」
「そ、それは・・・」
なんて答えれば良い。
もう動揺している時点でアウトなのに。
間を作ってしまうと余計に怪しまれてしまう。
「恥ずかしがり屋な人なので・・・本人に聞いてみます」
そう言って透さんの傍を抜けて、向こう側にあるトイレへ駆け込もうとするが、透さんの腕が壁に勢いよくついて、それを阻まれた。
「ここですれば良いじゃないですか」
笑顔で迫られて。
前がダメなら後ろ・・・と思って振り返ろうとするが、透さんの反対の腕がまたそれを阻み、壁際へと追いやられた。
「どうして逃げるんですか?」
壁に背中をつけて、透さんを見上げる。
ただただ冷や汗が流れた。
もう逃げ場はどこにもない。