第15章 謎特急
「だーかーらー!」
「園子姉ちゃん達も貰ったんでしょ?これと似たカードを。んで、それに書いてある指示通りにしたんじゃない?この部屋にいる被害者役の人と一時的に部屋を入れ替わって、尋ねてくる探偵達を騙して迷わせろって。違う?」
名の通り得意気に話すコナンくんは、いかにも探偵っぽくて。やっぱり彼は年齢以上の落ち着きが感じられる。
「すっごーい!さすがコナンくん!」
「正解だよ!」
当てられてしまった園子さんは不機嫌になってしまったようだが。
その後、改めて私達のカードに書かれていた内容をコナンくん達に明かして。小さくてもしっかり推理をするコナンくんを改めて見つめた。
そして、案外単純なトリックなんだな、なんて思っていると。
「それより、初めましてだよな」
突然、世良さんがコナンくんに近付き、目の前でしゃがみ込んだ。
「君だろ?灰原って子」
言葉を向けたのはコナンくんではなく、その後ろに隠れている哀ちゃんへのものだった。先程とは違い、フードを目深に被り、どこか怯えているようだった。
「君とは一度、話をしてみたかったんだ」
そう言う世良さんの雰囲気はどこか今までと違って。探偵の目付きをしているといった感じだった。
ゾクッー・・・
「・・・っ!!」
また、あの感覚。
誰かに見られているような。
手が、小刻みに震え始めて。
息が、整えられなる。
「誰だっ!!」
突然、世良さんが叫んで廊下に勢いよく飛び出て行った。
「ど、どうしたの?」
「今ドア越しに誰かが覗いてたって思ったけど・・・気のせいか・・・」
彼女の言葉で確信した。
やっぱり誰かが見ていたんだ。
それは誰に向けられている視線かは分からなかったけれど。
「とりあえず、車掌さんに推理クイズが解けたこと言いに行こうよ」
そのコナンくんの一言で、私達は被害者役の人の部屋を後にした。
「・・・あ、すみません。私ちょっと部屋に戻ってきます。先に行っててください」
「分かりました」
蘭さん達に一言断りを入れて、その場から離れた。コナンくんに一度視線を向けたが、彼は何か考えている様子で。
彼にわざわざ声をかけるのも変な行動に見えるかと思い、沖矢さんに言われた通り部屋に戻ることにした。