第101章 知って※
「も、もう・・・勘弁して・・・」
本当におかしくなる。
幸せボケとはまさに、こんな風に始まっていくのだろう。
「ひなたからも聞けたらやめよう」
・・・だめだ。
私にこの甘さは危険だ。
「あ・・・」
決意が・・・揺らぐ。
「愛・・・してる」
彼といるのは色んな意味で危険で。
それでも、傍に居たくて。
これに終わりがある事を、考えたくなかった。
ーーー
次の日。
その日は、やけに頭がボーッとする日だった。
昨日の幸せボケを引きずっているのだろうかと考えては、一人ポアロで仕事をしていた。
「如月さん、こんにちは!」
「コナンくん」
そんな中、彼は何事も無かったかのようにやって来て。
・・・何事も無かったと言えば、そうではあるけど。
「今日蘭姉ちゃん居ないから、お昼食べに来ちゃった」
「そうなんだ」
別に来た理由は尋ねていないが、コナンくんは無邪気な笑顔でそう話しながらカウンター席に腰掛けた。
お昼とは言っても、まだ11時頃ではあるけど。
少し早いお昼だなと考えては、一つの違和感に気付いた。
「あれ?確か今日って・・・」
平日だったはず。
祝日でもない為、彼は本来なら学校にいるはずで。
「色々あって、今日はお休みなんだ」
「・・・そっか」
色々、か。
これには深く突っ込まない方が良いのだろうな。
突っ込んだ所でこちらにメリットも無い。
「そういえば昨日の電話、何だったの?」
零が、この会話を聞かないとは限らない。
流石に音声の部分も直しているだろうから。
コナンくんが本当の事を答えられないとしても、この会話は一応出しておかなければならないと思った。
でなければ変に隠していると思われるから。
「ああ・・・もう解決したから大丈夫!ごめんね」
「ううん、それなら良かった」
そう言いながら私を見つめる彼の瞳は、何か言いたげで。
やはり私に何か伝え損ねている事は、あるようだ。
・・・零には聞かせられない、何かが。
「・・・ねえ、如月さん?」
「ん・・・?」
彼は私から視線を離さないまま数秒見つめると、何故かその目付きを変えた。