第101章 知って※
「・・・やっぱり、不安にさせてたんだね」
「ひなたの言う不安とは別の物だろ。これはひなたのせいじゃない」
そうだろうか。
結局私が原因なのだから、同じじゃないだろうか。
「ひなたの言う不安は、すぐに無くなる方法があるだろ」
「?」
私の言う不安。
嫉妬を覚える必要が無いくらい愛されているのに、不安にさせている・・・というものに対する、解決策。
それは何か、と無言で尋ねるように小首を傾げた。
「ひなたが、僕に対する気持ちを何度でも口にしてくれれば、それで十分だ」
「な、何度でも・・・?」
それは酷く羞恥を感じる。
けど、彼の不安がそれで取り除けるのなら頑張ろう。
・・・ただ。
「・・・飽きない・・・?」
所謂、好きだとか何とか。
そういう事を何度も言っていると、言葉としての意味が薄くならないだろうか。
そもそも簡単に口にできる事でも・・・。
「ひなた」
「?」
僅かに伏せられた視線を引き戻すように名前を呼ばれ、自然と彼の目へと視線が向いた瞬間。
「愛してる」
「・・・っ」
突然、私には困難な言葉を簡単に口にした。
「・・・愛してる」
それを、二度も。
余裕そうな笑みを浮かべて。
まるで、楽しんでいるような雰囲気だった。
「ど、どうしたの・・・」
流石に戸惑った。
言ってほしいと言っていたのは彼なのに。
彼が口にしてしまっては・・・。
「飽きそうか?」
「・・・!」
その言葉に、戸惑いは納得へと変わった。
彼はただ証明してみせただけだった。
「ひなた、愛してる」
「分かった・・・っ!大丈夫、飽きない・・・!」
その言葉は、何度でも聞けるという事を。
何度聞いても、心臓を高鳴らせるという事を。
恥ずかしさから彼の体を押して距離を取ろうとしたが、反対に引き寄せられてしまった。
「・・・愛してる」
トドメと言わんばかりに、耳元でもう一度囁かれて。
それに心臓が反応しない訳無くて。