第101章 知って※
「僕を・・・見ていろ」
・・・そういえば、前にもそんな事を言われた。
彼は行為の最中、よく口にする言葉があるなと思い返しては、体を小刻みに震わせながら徐ろに瞼を薄く開いて。
その隙間から一瞬目が合うと、口を塞いでいた私の手を取り払い、すかさず唇を塞がれた。
・・・舌が、優しく絡んでくる。
野性的だったり、優しくされたり、完全に彼の手の平の上で転がされてはいるが・・・不思議とこれが悪い気はしなくて。
「本音を言わないひなたを・・・少しは壊せたか?」
壊せた、だろうか。
壊れていると、良いのだけど。
自分では答えを出せない、と上目の視線で答えると、途中までだった彼のモノがググっと奥に入ってきて。
「ン、っふァ・・・!」
油断していた訳ではないが、僅かに力が緩んだ隙を狙って深められた。
「もっと壊れたひなたを見せてほしい」
・・・もう正直な所、彼と出会う前の私と比べれば、十分に壊れていると思う。
それは良くも悪くも、色んな意味で・・・だとは思うが。
彼と出会い、狂う程に彼を愛し、狂わされる程に愛されて。
人生は180度変わったと思う。
それが良い方向だったのかどうかは、今は分からない。
・・・けど。
「僕しか見る事のできないひなたを」
私しか見られない彼を、見られるなら。
「・・・見せてくれ」
今は、それだけで十分だ。
「やっ、あぁ・・・ァ・・・ッ!!」
奥、深い場所へ。
彼のモノが私のナカを抉るように突き上げる。
ゾクゾクとした身も心もおかしくなる感覚に、思わず瞼を閉じた瞬間。
「・・・ひなた」
「っあぁ・・・ッ!!」
命令違反のせいか、重い一発を体に受けた。
・・・きっと壊れるとはこういう感覚なのだと、脳裏でふと考えて。
「零・・・っ」
見ているから、と訴えるように彼の首に腕を回し引き寄せると、鼻先が触れそうな位置に彼の顔が来て。
どちらからとも言えない深いキスで、隙間を埋め込んだ。