第101章 知って※
「ひなた」
まただ。
その優し過ぎる声で呼ぶのは本当に・・・。
「ンっ・・・ぅ・・・」
心臓が。
何て思う頃には、肺にも影響が出始めて。
キスで唇を塞がれれば、息の仕方すら分からなくなる。
「んぅ、く・・・ン・・・っ」
苦しい、と軽く彼の肩辺りを叩けば、案外あっさりと唇が離れて。
かと思えば、すぐ後追い打ちをかけるように唇をペロリと一舐めされた。
「そういう事を、もっと聞きたい」
殆ど唇が触れた状態のまま。
互いの吐息が混ざり合う感覚を肌で感じながら、体のうずうずを抑えつけた。
「ひなたがどう思っているかは、僕も分からない」
「んん・・・ッ!」
言いながら、彼の指が動く。
快楽があるはずなのに、集中しきれない。
でも体だけは正直に答えていく。
「だから教えてほしい。余すこと無く、全部」
私が聞き漏らすことのないようにか、彼の唇は私の耳元へと移動して。
「嫌いな事も、好きな事も」
言葉を重ねながら、彼は再び堕ちるギリギリで指を引き抜いた。
勿論、体は悲鳴を上げている上、彼もそれを分かっているだろうが、これは意地悪でも何でもなくて。
「本当に僕の嫉妬が、必要無くなるまで」
そう言いながら、避妊具の入った袋を破ってみせた。
「無くなる・・・の・・・?」
かろうじて聞こえていたその言葉に対する疑問を、息絶えだえに口にすれば、彼は薄ら額に汗を浮かばせながら口角を上げて。
「さあ、どうだろうな」
そう笑みを含めながら言うと、避妊具を付け終えた彼のモノをゆっくり私のナカへと埋めていった。
「い、あぁ・・・あっ、ンん、ぅ・・・!!」
・・・直前まで高められていたせいか、少し入っただけで軽く達してしまって。
彼の腕に軽く爪を立てては、片手の甲を口に当てがい、声を封じ込めた。
「・・・目は閉じるなよ」
彼の息も荒い。
言葉と同時に聞こえてくるその息遣いに心臓を高鳴らせると、命令とは裏腹に、瞼は更に固く閉ざされた。