第15章 謎特急
「探偵事務所の下の階にある、ポアロでも働いていますので・・・」
「ふーん、なるほどな」
何も怪しいことは言ってないはず、と自分に言い聞かせながらも冷や汗は流れて。
コンコンーー・・・
突然、ノック音がする。
室内にいるみんなが扉に視線を向けた。
「誰だろ?」
蘭さんは出入り口の方へ進み、扉を開いた。でも、そこには誰もいなくて。
「イタズラ?」
「・・・かな?」
園子さんと蘭さんが、そうやり取りをしている時に気付く、足元に落ちている何かの存在。
「あの、蘭さんの足元に何か落ちてますよ」
「あ、本当だ」
蘭さんがそれを拾い上げ、私達の元へと持ってくる。
どうやら何かが入っているであろう封筒で。開けて見るとそこには一枚のカードが入っていた。
「おめでとう!あなたは共犯者役に選ばれました!七号車のB室にて被害者役のお客様がお待ちです。入れ替わって推理クイズを盛り上げてください!・・・だって」
蘭さんがカードの内容を読み上げた。
確か推理クイズは、乗客の中から犯人役と被害者役がランダムで選ばれて、その他はみんな探偵役・・・とサイトに書いてあったような気がする。
共犯者というのは書いてなかったように思うが、今回から導入されたのだろうか。
「とにかく、その七号車のB室ってところに行ってみるとするか」
「そうだね」
単純に推理クイズに参加するだけのはずが、妙なことに巻き込まれたようだ。一応、沖矢さんに知らせなくてはとメール画面を開く。
『今、蘭さん達といますが、推理クイズの共犯者というものに選ばれてしまいました。これから七号車のB室に向かいます』
そう沖矢さんに送信した。
彼に言っておけばコナンくんにも連絡してくれるだろうと思って。
今いるのはどうやら八号車のB室。車両番号が室内に書いていないので、簡単に迷子になってしまいそうだ。
一つ車両を移動し、B室の前で立ち止まってノックをする。中から出てきたのは阿笠博士のように太った男性で。
「君たちが共犯者役の子達か」
私達を見るなり男性はそう言った。どうやら部屋は間違っていないようだ。
少しだけ話を聞くと、男性は毎年この列車に乗っているらしく、推理クイズにはかなり乗り気なようだ。