第15章 謎特急
「あの!ひなたさんって彼氏とかいるんですか?」
「え・・・っ」
コナンくんが出て行った直後、目をキラキラとさせながら園子さんにそう詰め寄られた。やっぱり女子高生ってそういう話が好きだよなあ・・・。
「あ、いや・・・どうかな・・・」
思い出すのは勿論、透さんの存在。
でもはっきり付き合っているとは言えない関係で。
こればかりはなんと言って良いか分からず、言葉を濁した。
「じゃあじゃあ、好きな人とか!」
「園子!あんまり聞いたら失礼だよ・・・!」
蘭さんが制止してくれるが、園子さんの興味は収まらないようで。
「好きな人は・・・いる、かな」
苦笑いしながらそう答えた。
彼女から見たら私は大人だし、興味があることに理解はできる。
「どんな人なんですか!」
どんな、人。
「・・・優しくて、料理が上手で、強くて・・・、一緒にいたいって思える人かな」
透さんを思いながらそう答えた。
昨日一緒にいたのに。途端に会いたくなって。
でも、できれば今ここでは会いたくない。
矛盾する気持ちが複雑に交差して。
そんな時、車内にアナウンスが流れた。
『皆様、当列車は間もなく出発致しますーー』
いよいよ列車が発車するようだ。
彼らの協力者として完全に逃げられなくなった。
そう考えると、妙に緊張感が増して。
何か話をしていないと落ち着かなくて、必死に彼女達との話題を探した。
「そ、そういえば、毛利探偵はいらしてないんですか・・・?」
「ああ、父ならどこかに行ってしまって・・・」
まだ毛利探偵とは会ったことがない。ポアロによく顔を出すとは聞いているが、私がいる時は何故か顔を合わせることがなくて。
来ているなら挨拶くらいしておきたい、そう思っていると。
「なあ、アンタ。コナンくんとどういう関係なんだ?」
八重歯の彼女、世良さんが突然尋ねてきて。
コナンくんがいない今、そういう話題はまずい気がした。ましてや彼女は探偵と聞いている。
「わ、私が毛利探偵に依頼をしようとした時に知り合いになった、だけです・・・」
「その割には随分仲が良さそうだな」
不敵な笑みを浮かべながらそう言われた。
やっぱり探偵というのは言葉で人を追い詰めるんだな、と。まるで犯人になった気分のようだった。