第101章 知って※
「・・・ッあ・・・!」
あと、少し。
あとほんの少しの快楽があれば。
達したのに。
その直前で、私のナカに埋まっていた彼の指は、一気に引き抜かれてしまった。
「れ、い・・・っ」
さっきまでの甘やかしは一体何だったのか。
いや、こうなったのは私の発言のせいだけど。
それに、彼のこういう意地悪は今までに一度や二度では・・・。
「まだ、イかせない」
「・・・ッ、ひゃぅ・・・」
そんな時に耳を甘噛みされたせいか、情けなく声を漏らして。
引くつくような呼吸を繰り返しては、快楽の反動で重くなった体を必死に動かそうとした。
・・・零に触れたい。
どこでも良い。
どこかに触れていたい。
でもそんな強い思いとは裏腹に、ぐったりとした体は微塵も動かせなくて。
「・・・っ、ン・・・!」
・・・苦しいキス。
心地好いけど、苦しい。
「んっ、く・・・っ、ンんぅ・・・ッ!!」
ベッドに押し付けられるように彼の体がのしかかると、再びナカへと彼の指が入った。
・・・ただ、さっきより質量が少ない。
入っている指が・・・少ない。
正直、物足りなさを感じてしまう。
「っ・・・は、ぁ・・・やぁ・・・!」
もっと、奥に。
もっと、強く。
・・・欲しい。
そう素直に言えたら、どんなに楽か。
「ふ・・・ぅ、っあぁ・・・ッ」
シーツを掴んでは体を捩らせて。
体を自分で動かす事はできないのに、そういう力だけは強く入る。
体とは不思議なもので。
「・・・れ・・・っ」
名前を呼んで訴えるが、それを今の零が叶えてくれるはずもなく。
瞼を固く閉じてはフルフルと体を震わせていると。
「ッ・・・」
・・・また、だ。
また、肩の傷へと彼の唇が触れた。
彼を縛っている、この傷が嫌だ。
早く忘れさせてあげたいのに。
「・・・い、っあ・・・!」
そんなどうしようもない思いをチラつかせる中、二の腕辺りに僅かな鋭い痛みを覚えた。
感覚からしてこれは、跡をつけられている。
いつもより、強く、濃いものを。