第14章 出発前
「せ、世良・・・さん?」
「ああ・・・、僕のこと男だと思ったんだろ。残念だけど僕は正真正銘、女だよ」
にこっと笑うと覗く八重歯。
女の子だったのか・・・
衝撃の事実に驚いて暫く彼女を見続けた。
それでもやっぱり見た目も喋り方も男の子で。
「あ、胸はこれからボーンっと出てくる予定さ!」
そこには注目していなかったのだが。言われると自然に見てしまうもので。
私もそんなに大きい訳ではないけど、確かに少し寂しい気も・・・いや、今はそんなこと考えてる場合ではなくて。
「如月さんは一人で来られたんですか?」
「え?・・・えっと・・・」
蘭さんの突然の質問に何と答えて良いのか分からず、思わずコナンくんに視線を向けた。
コナンくんも丁度私に視線を向けたようで、パチっと目が合った。
「一人で来たって言ってたよね」
コナンくんが私に笑いかけながらそう言った。その言葉で沖矢さんや有希子さんのことは隠しておくことを悟って。
「あ、うん・・・。たまたま友人にチケットを譲ってもらったので・・・」
必死に笑顔を取り繕った。大丈夫だ、この人達は探偵でも何でもないんだし、バレることはないだろう。
「それはそうと、世良ちゃん!ここで一緒に推理クイズ解こうよ、女子高生探偵がいればこっちのもんでしょ!」
耳を疑った。
今確かに聞こえた、探偵という言葉。
「女子高生・・・探偵?」
「う、うん。世良の姉ちゃんも探偵さんなんだよ」
コナンくんに再び視線を向けながら問いかけた。聞いてないよ、という無言の訴え。
彼も少し申し訳なさそうに答えて。
「まあ、あの工藤新一くんには敵わないかもしれないけどな」
どうやらさっきの私の嘘はバレていないようで。まあ、彼女にバレたところで特に支障はないと思うのだが。
「如月さんも一緒にここで推理クイズ解いたら?」
コナンくんからそう提案され、ここにいなくちゃいけないんだと感じ取った。
「い、良いんですか・・・?」
「もちろん、人数はいた方が有利だし!」
園子さんがそう言ってくれたので、すんなり部屋には留まれた。
その後コナンくんは部屋を後にし、私は女子高生達に囲まれることとなった。