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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第101章 知って※




「零が帰ってくるので、切りますよ」

すぐ戻ると彼も言っていたから。

『そういえば彼、いつも以上に機嫌が悪そうでしたので、お気を付けて』
「・・・知ってます。では」

スマホを耳から離しかけた時、遅過ぎる忠告を受けては小さくため息を吐き、電話を切った。

電話が繋がる、通知が届いた、という事は電波障害だと思われるものは解決しているのだろう。

ただ、油断できないのは確かで。

「・・・・・・」

でも沖矢さんが電話を掛けてきてくれたのは・・・正直良かったと言えるかもしれない。

あのままの状況だと、きっとここまで冷静さを保っていられなかった。

スマホの履歴を削除しながら、僅かに沖矢さんへ感謝の気持ちを感じて。

それからは残っていた仕事を片付け始め、なるべくそれ以外の事はかんがえないようにした。

そしてようやくそれも終わろうとした頃、今度はいつもの音量で玄関から音がして。

「・・・ひなた」

廊下へと繋がる扉がゆっくり開かれると、そこには出て行く前とはすっかり雰囲気の変わった零が居た。

落ち込んでいるような、冷静さを取り戻して燃え尽きているような、安堵しているような。
とりあえず、落ち着いてはいた。

「おかえり」

一先ず彼にそう言うが、視線は全く合わなくて。

・・・きっと、見ようとしていないのだろう。

「ごめん、まだ仕事終わってなくて。セーフハウスに戻らなきゃいけないなら急い、で・・・」

なるべくいつも通りに声を掛けようとした。
どこか彼が、自分を責めているように見えたから。

ただその言葉は言い終わらない内に、私は彼に強く抱き締められていた。

「・・・零?」

傍から見れば誤魔化しの様にも見えるかもしれない。
けどこれは彼からすると、きっと確認で。

私がそこに存在しているか。
私の体温がきちんとあるか。

私が、生きているか。

そんな、確認。




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