第14章 出発前
「あ・・・あなたが、阿笠博士・・・?」
「いやぁ、コナンくんから話しは聞いておるよ。ワシの発明に興味があると」
「は、はい・・・!とても・・・!」
さっきまでの恐怖が嘘のように消えて、喜びで胸がいっぱいになる。
この人とは話したいことがたくさんあった。
「あの・・・っ、ご迷惑でなければ今度、発明品を見せて頂くことは・・・!」
「ああ構わんよ。なあ、哀くん」
阿笠博士は、マスクをした少女に目を向けながら了承の言葉を返してくれた。博士の娘・・・いや、孫だろうか。
「哀ちゃんはね、博士と一緒に住んでるんだよー!」
一人の少女がそう教えてくれて。
なるほど。だからこの子・・・哀ちゃんにも一応了承を得るような言い方だったのか、と納得した。
コナンくんのクラスメイトということは小学一年生ということか。
「そうなんですね。・・・お孫さんですか?」
「あ・・・、いや。訳あってうちで預かっているんじゃ」
戸惑ったように博士が答えるので、聞いてはいけなかったか・・・と申し訳なく思った。
「すみません、余計なことを聞きましたね」
「いや、いいんじゃよ」
失礼ながら、発明家と聞いて変な人を想像していたが、実際会ってみると優しそうな人で、どこか安心した自分がいた。
「あっちの部屋に蘭姉ちゃん達もいるから行こう」
「あ、うん。では失礼します」
「如月さん,ばいばーい!」
軽く会釈をしてから部屋を後にし、また車両を移動する。去り際に子供たちが笑顔で手を振ってくれたのがすごく嬉しくて。
でも、何の為に彼らに紹介されたのか意図は分からなかった。
そして再びとある扉の前で立ち止まると、コナンくんがノックをして部屋の扉を開けた。
「あれ、コナンくん。どうしたの?」
「如月さんを見かけたから連れてきたんだ」
コナンくんのその言葉を聞いてから、ひょこっと室内に顔を覗かせた。
「こんにちは・・・」
中を覗くと、蘭さんとその友達と思われる女の子と、男の子が一人。
「如月さん、こっちは鈴木財閥のご令嬢の園子姉ちゃんで、こっちは世良の姉ちゃんだよ」
「どうもー!」
鈴木財閥のご令嬢だと言う園子さんが、元気よく挨拶を返してくれる中、気になることが一つ。