第101章 知って※
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数日後。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
その日、私はとある人物に問いただしていた。
数日前に会った時のことについて。
「コナンくんは本当に嘘が上手だよね」
「それ程でも」
別に褒めている訳ではないが、彼なりの皮肉なのだろう。
ポアロでの話は危険だと思い、この日は尾行が居ないことを散々確認して阿笠邸へとやって来た。
・・・ここには、ついでの用事もあったのだけれど。
「あの日、本当は沖矢さんに会いに来たんだよね?」
「まあね。でも、如月さんに話があったのは本当だよ」
それは間接的にだろう、と心の中で呟いては、阿笠博士が入れたコーヒーに口をつけて。
「本当に・・・上手くいくと思う?」
コナンくんとは、赤井さんとの取引においての所謂、協力者だ。
彼も取引については勿論知っている。
「僕と赤井さん・・・それに、FBIの人達の保証だけじゃ不安?」
「・・・そんな事ないよ」
凄い自信だな。
だから任せられるのだけど。
でもそこに、公安の保証がつけば完璧なのに。
零に知られる訳にはいかないから。
「メモ、処分してくれた?」
向かいに座るコナンくんが小首を傾げながら尋ねてくるのを、カップをソーサーに戻しながらチラリと見て。
「大丈夫、すぐに燃やしたよ」
あの日、コナンくんがポアロに来た時、彼はさり気なくメモを沖矢さんに渡していた。
そのメモに沖矢さんは処分する旨を書き足し、私に握らせた。
カウンターに座ったのも、きっと監視カメラや私から見えにくくする為で。
「・・・本当に、後悔しない?」
この作戦を考えたのは主に赤井さんと私だが、コナンくんも半分はそれに賛成をしてくれた。
でも、あくまでも半分で。
「うん。もう覚悟した」
その半分に彼は酷く反発していたが、私が覚悟して頼んだ事だからと言うと、渋々納得して協力してくれた。
「ありがと、ね」
彼が居なければ、零と出会うことも無かったかもしれない。
そう思うと、少し・・・寂しくもあったが、小さく彼にお礼を伝えた。