第99章 生きて※
「指は、人によってはかなりの性感帯だって、知っていたか?」
・・・そう、だと思う。
身をもって実感している今は、その言葉を信じる他無い。
「特に利き手・・・指の股や、手の平なんかは」
言いながら彼が、その部分に口付けたり舌を這わせたりして。
それが今まで以上に体をむず痒くさせた。
これは・・・一番心臓に、良くない。
「零・・・っ、それ・・・嫌・・・っ」
手を引こうにも力が抜けてしまっている上、そもそも彼に力で勝てる訳がなくて。
もう一度、フルフルと首を振ってみるが、彼にそんなものが効くはずも無く。
「嫌、か?」
そそられる。
そう言いたげな笑みを見せられると、私の言葉を確認してきて。
「残念だが、僕にはそう見えない」
意地悪、意地悪だ。
・・・いや、この場合どうなのだろう。
彼の言葉は、間違ってはいない。
私が、それを認めていないだけで。
でも、認めるのはどこか気が引けて。
例えそこが性感帯だったとしても、指で感じているなんて・・・恥ずかしくて。
「嫌か?」
言葉を詰まらせていると、彼は再度尋ね直した。
そしてその問いかけに首を振ると、彼は満足そうな笑みを浮かべた。
「僕はもっと、僕しか見られないひなたを見せてほしい」
「ン、むっ・・・」
そう言うと彼は親指を私の唇に這わせ、ゆっくりと軽く押し込むと、空いた隙間からその指を私の口内へと滑り込ませた。
少し骨張った彼の指が口内に入れば、必然的に舌が触れて。
反射的なのか、その形を確認するように舌が勝手に動けば、自然に舐め上げるような動きになってしまった。
「・・・れ、ぃ・・・」
上手く発音はできないが、モゴモゴと彼の名前を呼びながら彼の手に手を添えると、零の表情が僅かに変わって。
余裕の無さそうな、どこか恍惚感を感じさせるその表情に、目も心も全てを一瞬にして奪われた。