第99章 生きて※
「そういう事をされると、本当に余裕を無くすんだがな」
・・・したのは零じゃないか、と心の中で言いかけたが、彼の言っている意味が何となく分かった時、自分が大変淫乱な事をしてしまったような気がして。
それでも口内で彼の指が動けば、私の舌も反射的に動いて、彼の表情からも目が離せなくて。
これで体が、悲鳴を上げない訳が無い。
「れ・・・っ」
苦しくない、ギリギリのラインを責められる。
だからこそ、僅かに余裕のできてしまうこの状況が苦しくて。
触れて欲しい。
その感情だけが、急速に育ってしまう。
「分かってる」
そう言うと、彼は指を私の口内に入れたまま、胸の蕾をパクリと口の中に納めて。
「ふ、ぁあ・・・ッ!」
焦らされた分、体はその快楽を貪欲に受け入れた。
熱い舌が蕾に触れる瞬間、腰から上がってくるようなゾクゾクとした感覚に体を震わせ、吸われればぴくぴくと小刻みに震わせた。
口内に指があるせいか、少し前の頃を思い出すが、あの時とは彼の指の動きが圧倒的に違う。
あの時は毒の有無を確認していたが、今はそれが無い。
それが私の中では嬉しくて。
「ンぅ、ふぁ・・・ぁ、ン・・・ッ!」
歯は、なるべく立てたくない。
彼の綺麗な指に傷を付けたくない。
いや、彼の手には細かな傷はあるけれど、私の傷を付けたくなかった。
彼にはなるべく、私が居たという痕跡を残しておきたくなかった。
・・・赤井さんとの取引がある以上、私はいつ彼の目の前から居なくなってもおかしくはないのだから。
「ひぁッ、あぁ・・・!!」
彼の顔で死角になっていたせいで、完全に油断していた。
突然、秘部に彼の指が這わせられると、驚きと快楽の違いから、腰を僅かに浮かび上がらせた。
「ひなたは考え事をしていると、すぐに分かる」
・・・私はそんなにも分かりやすいのだろうか。
でも、彼には毎回バレているのだからそうなのだろう。
認めたくは、無いけれど。