第99章 生きて※

「･･･っ、･･･」

耳から首へ、そして今度は肩へと口付けられた。

･･･私はもう、ある事すら忘れかけている体の一部となってしまった場所。

弾丸で付いた、その傷へ。

「･･････」

やはりこれがある限り、彼はずっとこの行動をし続け、この顔をさせてしまうのだろうな。

これが、楽しい思い出にでも変わらない限り。

「･･･れ･･･」

僅かに気が逸れてしまっていると、その間に彼は私の手を取って。

それに唇を落とすと、その熱と感触だけを残した。

「･･････ッ」

変な、感じがする。

ムズムズ、というのか･･･モヤモヤ、というのか。

順番に全ての指へと唇を落としていく中で、その感情だけは大きく膨れ上がっていて。

「っ･･･！？」

彼の命令通り、その行動からも目を離さないでいると、今度は突然それを口内へと含まれた。

彼の舌が、指に絡んで。
手は冷たいのに、舌は熱くて。

言葉では表すことができない、不思議な感覚が体の中を走った。

「零･･･っ」

恥ずかしい。

ただ、指を舐められているだけ。
そう表せば、それだけなのだけど。

それが酷く周知を感じさせ、熱を上げる。

「っ･･･ン、ぅ･･･」

息が上がってしまう。
何もしていないのに。

そんな時に･･･。

「･･･ッ」

こっちを見ないでほしい。

そんな綺麗な瞳で、見ないで。

「や･･･っ」

フルフルと首を小さく振れば、彼は何故かフッと笑って。

私に見せつけるように指を舐め上げた。

「どうした」

そして、この一言を言い放って。

･･･意地悪だ。

こんな時にどうしたのか、なんて。
意地悪以外の何物でもない。

「ゆっくりと、しているハズだが？」

確かに、彼の行動はゆっくりだ。
逆に、ゆっくり過ぎるくらいに。

でも、だからこそ･･･なんても言えなくて。

私がお願いをするよりもずっと前から、主導権は彼が握っていた事を痛感させられた。