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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第14章 出発前




「早速ですが出かけましょうか」
「あ、はい」

透さんは特に手荷物を持っている様子も無かったが、そのまま家を後にした。玄関を出て門を抜けると沖矢さんが一度立ち止まって。

「最寄り駅までは車で移動しましょう。回してきますのでここにいてください」
「分かりました」

そういえば沖矢さんも車を持っていたな、と思い出して。大学院生だったはずだけど・・・どこかのお金持ちなのだろうか、と考えている間にも沖矢さんは赤い可愛らしい車で現れた。

「さあ、どうぞ」
「ありがとうございます」

なんだか透さんの車に乗るような感覚に近かった。
車は全く違うが、沖矢さんの雰囲気がそう錯覚させたのだと思う。

「駅までそう時間はかかりませんので」

そう言いながら車を出発させた。
未だ、行先もこれからの行動も何も知らされていない。
不安だけが残されていく感情が息苦しい。

自然と視線は俯いたままで。

「今日は洋服の雰囲気がいつもと違いますね」

突然そう言われて。いつも、と言われても沖矢さんと会うのはこれで三度目だった気がするが。

「・・・昨日、透さんから頂きました」
「なるほど、彼からですか」

正直にそう答えた。これは沖矢さんにとってどうでも良い情報だと思えたから。

その後もなんて事ない会話を続けていると、いつの間にか一つ目の目的地に着いたようで。

「行きましょう、こちらです」

足早に進む沖矢さんに必死について行った。駅内に入るとそこは大勢の人達で溢れていて。

みんなあの列車の乗客なのだろうか。
そんな考え事をしている間に、沖矢さんからはぐれてしまいそうになって。

「沖矢さん・・・!」

見失う前に、と彼の名前を呼ぶ。それに気付いた沖矢さんが人混みをかき分けながら私に近付いて、グッと肩を掴み引き寄せた。

その行動に少なからず動揺してしまって。

「お・・・沖矢さん・・・!?」

戸惑いながら彼の顔を見上げるが、そこに笑顔は無く。

いつもと少し雰囲気の違う沖矢さんにどこか胸がざわついた。



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