第98章 金輪際
「如月さんこそ、昴さんと何してるの?」
何故か怒ったように食いついてくる歩美ちゃんに目を丸くしては、一瞬固まってしまって。
「え、えっと・・・」
どうやら怒っているのは彼女だけではないみたいで。
コナンくんと哀ちゃんは呆れた様子で子供たち三人を見ていたが、その三人は私たち二人を何故か眉を釣り上げて見ていた。
「僕の買い物に付き合って頂いたんですよ。たまには、女性の意見も取り入れたいですからね」
私が口ごもっている内に、沖矢さんは持っていたショップ袋を見せながら、子供たちにそう答えて。
それと同時にコナンくん達に視線をやると、彼は申し訳無さそうな表情をこちらに向けた。
「でもでもっ、如月さんには安室さんがいるのに!」
「二人でいたら浮気だろ!」
・・・なるほど、そういう事か。
コナンくん達は私達二人で歩いていても、子供たちが考える関係でないことは分かっていたが、止めきれなかったのか。
子供たちが怒っている理由は分かった、けど。
「私達は別にそういう関係じゃ・・・」
何と言えば良いのだろう。
二人で歩いていた事に変わりはないから。
返事に困っていると、沖矢さんは徐ろに私の前に腕を広げ、子供たちの間に割って入った。
そして、子供たちの前にしゃがみ込むと、子供たちだけに聞こえるように小声で何かを話して。
それを聞き終えた子供たちは、何故か目をキラキラと変化させていった。
「そういう事だったんですね!」
「歩美、応援してる!」
・・・一体、何を吹き込んだのだろう。
何か変なことを言ってなければいいが。
「ごめんね、如月さん・・・アイツら勝手に勘違いして」
その様子を見守っていると、コナンくんがこちらに駆け寄って来てはそう謝罪して。
「ううん、大丈夫。コナンくん達はこんな所でどうしたの?」
比較的大人向けなファッション街だ。
子供達に用事があるとは思えないけど。
「まあ、ちょっとね」
探偵というのはつくづく秘密主義なのだな。
小さくてもそれはしっかりしているようで、彼への追求はそこでやめた。