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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第97章 最終的




「見つけた」
「!!」

その人物は、いつの間にか目の前まで来ていて。

姿は見えないが、声だけ聞けば誰なのか判断するには十分過ぎた。

「いけない子には、お仕置きが必要だね?」

・・・情報屋だ。

じゃあ、零はどこに。

「さ、こっちにおいで」

男が屈んだ・・・。
声の位置から、それは明白だった。

問題なのは、私の後ろに並ぶ机のせいでこちらが死角になった事で。

逃げなければ・・・そうは思ったけれど。

零は動くなと言った。
それに、そもそもまだ体が動かない。

「子猫ちゃん」

男が私を呼ぶ度、体が強ばる。

近付く気配だけは感じ取れるのに。

どうすれば良いのか分からない。

こんな判断すら、自分でできないなんて。

「沢山、お仕置きしてあげる」

折角、この男の手から逃れたのに。

また、戻るのか。

何もできない自分を責めるように、二の腕を掴む手に力を込めた瞬間の事だった。

「ッ・・・!!」

生暖かい何かが、頬に飛び散った。
いや、その前に何かが盛大に割れる音と・・・。

「え・・・」

男の、声にならない声。
抑えきったものだったが、生々しい音と共に静寂の中で確実に聞こえてきた。

それが意味する事とは。

「ど、どこから・・・」

情報屋が撃たれた。

男の背後にあった窓ガラスが飛び散り、そこから僅かに漏れた明かりが男を照らして。

膝をついて肩を押える姿を、ぼんやりだが捕らえる事が出来た。

男の背後からということは、零ではない。

でも、だったら誰が。

「ぐっ・・・」
「!!」

もう一発。
どこを撃たれたのかは分からないが、音と飛び散る血飛沫で、男が再び撃たれたということだけは分かった。

ボタボタと音を立てながら落ちるそれに、経験上このままでは危ないと察して。

「・・・何してるの」
「喋らないでください・・・っ」

震える体で、近くにあった布切れを持って男に近付き、負傷したと思われる場所を必死に抑えた。

撃たれたのは肩辺り。
致命傷にはならないだろうが、出血が酷ければ危ない・・・そう思ったら、後先考えず体が動いていた。




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