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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第97章 最終的




暗い。
どっちが撃ったのかは知らないが、きっとランタンに当たったんだ。

それに気付いた瞬間、今しかないと思った。

「・・・ッ!」

この男から離れるのなら、今だ。

そう思い、強ばっていた体を無理に動かし、男の体を強く突き押しては、その手から何とか逃れた。

「透さん・・・っ」

バーボンの方へ走れば、もし男が撃った時に巻き添えを食らうかもしれない。
撃たないとは思うが。

だから彼とは違う方向へ、部屋の奥へと逃げた。

男を取り押さえるなら今しかない。
そう伝えるように、彼の名を叫んで。

身を屈めながらも、暗闇の中を必死に進んだ。

「駄目だなぁ」

そう、男の声が聞こえた気がした。
その瞬間、真横にあった何かが盛大に跳ねた。

「きゃ・・・っ!!」

撃った。

男がそうした事には、すぐ気が付いた。

でも、驚いた要因は他にもあって。

傍に居た時は、私に発砲しないと確信していたせいだろうか。

「ひなた!!」

男から離れても、こちらには撃ってこないとどこかで確信していた。

それが、そもそもの当たり前な間違いだった。

「ひなた!動くな!」

・・・動くな、と言われても。
そもそも、動けない。

足に、力が入らない。

自分が震えていると気付いた時にはもう、床に座り込んで両側の二の腕をそれぞれの手で掴んでいた。

「近付かないで頂けますか」

もう一発、零の言葉と共に今度は男の方へと向けて着弾する音が聞こえた。

今度は、零が撃った。

恐怖はあるが、それが分かるくらいには意外と冷静さを保っていて。
それがせめてもの救いだった。

「僕の取引を飲んでくれないのに、命令だけはよくするね」

・・・足音。

ゆっくりで、静かだけれど。

どちらかのそれが聞こえてくる。

でも暗闇に中々慣れない目は、何も捕らえてはくれなかった。

「・・・っ」

近い。
すぐ側まで来ている。

でも、あれから会話も大きな物音も無い。

せめて声があれば。

そう、思っていた矢先だった。



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