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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第97章 最終的




「違・・・っ」
「違わないさ。君にも俺と同じ、歪んだ感情がある」

・・・違う。
この男と同じなんかじゃない。

そう思う度に。

妙に男の言葉が、頭に響いて。
それが酷く気分を悪くする。

「・・・ッ!」

突然、男の左手が私の顔を掴んで。

無理矢理顔を男の方へと向けられると、同時に私に突きつけられていた銃が、今度はバーボンの方へと向いた。

「無駄話はこの辺にしよう」

そう言いながら、男の目は私の目を捕らえて離さなかった。

それは確実に私を見ているのに、私自身は見ていない。

私を通して何か別のものを見ているような・・・そんな風に見えた。

「わ・・・っ」

男との距離はゼロのまま。
バーボンに背を向けるように体を回転させられ、短く声を上げてしまった。

「君が撃てば彼女に当たるからね?」

男の言葉に、何故こんな事をさせられたのか察した。
・・・私は、盾にされたのか。

「やはり、貴方に彼女は渡せません」

背中で聞こえたバーボンの声は、怒りに満ちていて。
でもそれはとても静かな、きっと表情などの目には見えないもので。

「大切にして頂けないみたいですので」

言葉の終わりと同時に、何かが割れる音が部屋中に響いて。

鼓膜をビリビリと震わせると、体をこれでもかと強ばらせた。

「っ・・・」

どちらかが撃ったのか。
でも、何に当たったのか。

それを把握する為に、反射で閉じた瞼を開きたかったのに。
力が入り過ぎているせいか、それすらできない。

あろう事か、情報屋の服を強く掴んで縋っていた。

「大丈夫だよ、子猫ちゃん」

・・・悔しい。

どうしてこんな男に縋っているのか。
どうしてこんな言葉を掛けられているのか。

それは全部、私が・・・弱いからだ。

「・・・・・・」

数秒の沈黙。
僅かに何かが焦げるような匂い。

そんな中、ようやく瞼だけは言うことを聞いて。

ゆっくりそれを開いた時、ランタンのぼんやりとした灯りは無く、目の前は闇に包まれていた。




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