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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第97章 最終的




でもその隠さない男の執着心のおかげで、私の恐怖心が半減しているのは否めない。

こうして銃を突きつけられても、やはり男が撃たないという妙な自信があって。

相変わらず、確証はないけれど。

「彼女は渡しませんし、そもそも取引に応じるつもりはありません」

勿論、私もその取引に応じられては困るのだけど。

・・・でも。
もし、応じなければ。

この状況は一体どうやって打開するのか。

「じゃあ、君がスパイだということは組織にリークさせてもらうけど、良いんだね?」

それも・・・困る。

この男を結果どうすべきなのかは分かる。
けど、そうするのに何をすべきなのかが分からない。

彼は・・・零は、その方法を見つけ出しているのだろうか。

「ご勝手にどうぞ?」

バーボンは、フッと短い笑いを漏らしながら、そう返して。

「僕がいなくなって困るのは、組織の方ですから」

余裕そうなその態度に、思わず私が目を丸くした。

・・・何か、組織で誰かの弱みでも握っているのだろうか。

ぼんやりとした灯りのせいではっきりはしないが、彼の表情からしてそれは、ハッタリの様には見えなくて。

「じゃあ取引は無しだ。強引に奪わせてもら・・・」
「ちょっ、と・・・待ってください・・・っ」

静かにピリつく空気の中、男の言葉の上に言葉を重ねると、二人の視線だけがこちらに向いた。

「そもそも・・・どうしてまだ私にこだわるんですか・・・」

彼もその理由は分かっているのだろうか。
・・・知りたくもないと思っているかも知れないが。

「逆に聞くけど、君が彼にこだわる理由は何?」
「・・・?」

私が、零にこだわる理由・・・?

「それは・・・」
「好きだから、でしょ?」

・・・この男にそういう事を言われると癪なのは、どうしてだろうか。

「君が彼に執着するように、僕は君に執着しているだけさ」

執、着。
私が彼に、執着。

確かに、言われてみればそうかもしれない。
ただ、執着というよりは依存かもしれないが。

私はこの男と同じなのかと気付いた時、ある種の恐怖で全身に鳥肌が立った。





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