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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第97章 最終的




「・・・分かりました。その代わり条件が・・・」
「残念だけど」

バーボンが何かを言いかける最中、男は威圧的な態度で口を挟んだ。

「君がそんな事を言う権利は持っていないんだよ」
「ッ、あ・・・!」

男が再び腕を上げると、足は完全に宙へと浮いてしまった。

流石に息ができなくて。
一瞬だったが、死というものを隣に感じた。

「・・・っ、分かりましたから、早く彼女から手を離して頂けますか」

・・・冷静さが無い。

そんな彼の声だけを聞き取ると、足はゆっくりと地面へと着いた。

「っ、は・・・ッ」

まだ、男の腕は首に回ったまま。
それでも先程より状況は随分とマシになった。

吸えるだけの空気を吸い込むと、軽く咳き込んで。
僅かに目眩がする視界の中、男の腕を掴む力すら無くなった。

「君は本当に彼女の事となると必死だね!」

何がそんなに面白いのか、男は高らかに笑いながらバーボンに言い放つと、どこからとも無く銃を取り出した。

「君の車は組織も知っているからね、僕の車で行こう。勿論、運転は君だよ」

そう言いながら、男は私を担ぐように持ち上げた。
・・・まるで、荷物を運ぶかのように。

「まずは適当に走らせてくれるかい。追っ手がいないことを確認してから、行き先を告げさせてもらうよ」

どうやら、既に事務所はバレていたらしい。
いや、バレていない方がおかしいか。

彼の車の近くに男の車が止められているのを見ると、最初からこの瞬間を狙っていたのだろう。

「あ、そうそう。スマホの類は全部出してね」

後部座席に私を乗せると、男は外でバーボンにそう指示をして。

男はそれらを受け取ると、彼の体に触れて簡単な身体検査をしてみせた。

「・・・っ」

駄目だ、クラクラする。
ちょっとした酸欠状態だった為か、強烈な目眩がドッと押し寄せた。

「ひなた・・・っ」

・・・彼の声が聞こえる。
でも、それが聞こえて来た瞬間、嫌な音と共に額に冷たい感触を感じた。

「妙な真似したら子猫ちゃんがどうなるか・・・分かるよね?」

突きつけられたのが銃だということは、見なくても分かった。

・・・こういう事に、慣れたくはないとつくづく思う瞬間だった。




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