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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第96章 価値感※




「今日は大丈夫そうです。とりあえず、事務所まで戻りましょう」
「は、はい・・・」

差し出された手に手を重ねると、それを引きながら彼は出入口へと向かった。

結局この部屋は何の部屋だったのか、何の為に来たのか、聞きそびれたことは沢山あった。

「ひなた」
「?」

そういえば最近はバーボンの時でも、さん付けではなくなったな、なんて思いながら彼へと顔を向けた時。

同時に唇に柔らかい感触を受けた。

「ん、く・・・ッ」

そのまま壁へと押し付けられて。
深く深く口付けられた。

響きやすいここでは、ちょっとした吐息までもが反響する。

それに背徳感を感じるのは、いつもの事で。

「待っ、ン・・・とおる、さ・・・っ」

てっきり、キスで終わると思っていたのに。
下りている髪を片手で片方に避けられると、うなじに近い位置へと唇を落とされた。

「そ、そこはダメ・・・っ」

僅かな痛みと、吸い付くようなこの音。
彼が何をしているのかはすぐに分かった。

でも、強く抱き締めるような形で固定されている体では、上手く抵抗することもできなくて。

「もっと前の方が良かったですか?」

唇が離されると、位置はそのままで静かに尋ねられた。

返事として首を強く振ったが、それに意味を持つことは無くて。

「ンっ、ふ・・・あ・・・」

噛みつかれるように、今度は首筋へと彼の唇が再び触れて。

強く、吸いつかれては痕を残した。

「・・・貴女は肌が白いから、よく目立ちますね」

そう言って愛おしそうに首筋を見つめる彼が、ほんの少しだけ怖かった。

何を考えているのか分からなくて。
今の彼が誰なのか分からなくて。

この行動にも、深い理由は無いのだろうか。
単純に、彼が私に痕を残したかっただけなのだろうか。

答えが欲しいようなそうでないような。
そんな複雑な気持ちのまま、私は彼に連れられるように、その部屋を後にした。



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