第96章 価値感※
「FBIか」
「うん・・・」
赤井秀一か、とは聞かない。
どこで、どうやって、という事も。
それを確認する事はしたくないのだろうな。
いや、する必要が無いのか。
「風見さんは、この事・・・」
「流石にもう伝えた。・・・事は時期に終わるからな」
・・・終わる?
あの男を、捕まえるという事だろうか。
「えっと・・・改めて、今日の事は聞いてもいいの?」
「・・・そうだな、話しておこう」
そう言うと彼は、まだ手にしていた小瓶を、テーブルの上へと置いた。
「あの男は、組織に喧嘩を吹っかけた」
それは、彼の口から・・・というよりはコナンくんから聞いた。
それが真実だということも公安やFBIから聞いている。
そういえば、あの情報屋は何をしたのだろう。
命まで狙われている事とは、一体。
「奴は執拗にひなたを狙いに来ている。それは組織の人間も気付いている。今回はそこを利用したんだ」
・・・という事は結局、今日あの男は本当に私をずっと追い掛けてきていたのか。
「あそこに誘き寄せ、組織の人間が始末する手筈だった」
でもそれは、失敗に終わった。
「失敗は、故意だったんだよね・・・?」
でなければ少し、気味が悪い。
「あの男には、まだ聞かなければならない事があるからな」
・・・そっか。
これは公安やFBIとしての仕事でもある。
情報屋が始末されるのを防ぐ意味でもあったんだ。
「それに、これ以上この件にひなたを巻き込む事はしたくない。奴は本当に何をしてくるか分からない」
・・・あまり、そう考えたくはないけれど。
やはり簡単に考え方を変えることはできなくて。
今の私は、彼の弱みになっている。
その事実が突きつけられる度、私のやっている事は本当に正しいのか不安になる。
そろそろ、こういう考えは捨てなければ。
そして、赤井さんに言われた通り・・・力をつけないと。