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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第96章 価値感※




「彼女をこれ以上、巻き込ない約束ですよ」

そう言いながら、彼は私の肩をグッと引き寄せて、ジン達に背を向けるように片手で抱き締めた。

それに一瞬驚きはしたものの、意外と冷静になれている自分に一番驚いた。

「本当に気に入ってるのね!」

ベルモットの高らかな笑いと共に聞こえてくる言葉が、耳を刺した。

・・・バーボンの足枷になっていることを、改めて彼女にも言われた気がして。

「では、僕はこれで失礼しますよ。言われた事はやりましたから」

そう言いつつも歩き出さないのは、彼らが唯一の出入口にいるからだろうか。

小さく上を見上げ彼の顔を見てみるが、その目つきは鋭く、笑っているのに怒っているようにも見えた。

「あら、作戦が失敗したのに帰れると思ってるの?」
「失敗したのはそちらでしょう?」

・・・なんだろう。
何が起きていたのだろう。

知らず知らずの内に巻き込まれていたようだけど、組織のことだから・・・相当危ない事なのでは。

「同じ手は使えない。なら彼女はもう、関係ないですよね」

バーボンのその言葉に、静かに目を見開いた。

・・・まさか、失敗は必然だったのではないか、と思ったから。

「いいえ、その子はまだ利用価値があるわ。幾らだって方法はある」

ああ言えばこう言う。

ある種、膠着状態と言えるこの状況を、彼はどう脱するのだろう。

「・・・ッ・・・」

なんて、考えていた時。

「と、・・・るさ・・・」

体が急に、熱を帯び始めた。

・・・いや、多分・・・ずっと、上がり続けていた。

私の気付かない内に、徐々に、確実に。

「どうされました?」

白々しく言葉を吐く彼に縋り付くように体を預けると、肩を抱く彼の手の力が強くなって。

「っ、は・・・ぁ・・・ッ」

おかしい。
体が、おかしい。

苦しくて、熱くて、もどかしい。

・・・これに似た感覚を、私は知っている。



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