• テキストサイズ

【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第96章 価値感※




「ひなた」
「何・・・?」

少し、改めた様子で。
彼は真っ直ぐ前を見たまま、名前を呼んだ。

「何があっても、僕から離れるなよ」

・・・その言葉、何度目だろう。
私がその約束を守れないから、何度でも言うのだろうな。

情けないやら、申し訳ないやら。

「うん」

短くそう返事をすると、車は赤信号で止められて。
その瞬間、彼の手は私の頭に優しく乗せられた。

「そして、何があっても動揺はするな」

既にその言葉で動揺してしまっている場合は、一体どうすれば良いのか。

それに、昨日の今日では流石に自信が持てなかった。

直ぐに返事をしたかったが、僅かに返事に迷っていると、彼は更に言葉を付け足した。

「何かあれば・・・僕が必ず守る」

・・・これもまた、幾度と無く言われてきた。

私はただ、貴方の傍に居られればそれで救われる、と顔を向ければ、彼もこちらを見ていて。

「・・・っ」

フッと見せるその自然な笑顔に私が弱い事を、彼は知っているのだろうか。

・・・流石に、分かりやすさだけで生きているような私の反応を見ていれば、分かるか。

直視できない、その眩しげな笑顔から堪らず、そっと目を逸らした。

その瞬間、頭の上に乗せられていた彼の手が、ピクリと何かに反応した気がして。

「・・・どうやら、向こうも会う気はある様だな」

その手がハンドルの方へと移るのを横目で確認すると、彼の視線がバックミラーに向いている事を確認した。

目を逸らした一瞬で、彼は何の情報を得たのだろう。

その答えを探るように、私は窓の外のサイドミラーへと目を向けた。

「・・・・・・?」

でも、特に怪しい車や人が映っているようには思えなくて。

彼は一体・・・何を見たのだろう。




/ 1935ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp