第95章 決めて※
「・・・っ・・・んぅ・・・」
呼吸が整わない。
刺激はまだ体の中に残っている感覚のまま。
震えたくもないのに、体はぴくぴくと小刻みに震えてしまう。
彼の名前を呼んで、彼の顔を見て、彼に抱きつきたいのに。
何一つできなくて。
「ひなた」
ぐったりと横たわる私に彼が名前を呼んで。
反応する事もできず、ただ疲労感に任せて瞼を閉じた。
「・・・っ!?」
その瞬間、体がふわりと浮いて。
回らない頭で状況を判断できるはずもなく。
ただ、彼にされるがまま体を動かされて。
気が付けば、ベッドに転がっているのは彼の方だった。
「・・・潰れるな、とも言っただろ」
そう言って寝転ぶ彼の上に、跨る体勢にされていて。
腰は降り切っていない。
けれど、確実に秘部へは彼のモノが当てがわれている。
その私の体を支えるのは、腰を持つ彼の手だけだった。
「っア、ぁあ・・・ッ!!」
その手を緩められると、問答無用で体は下へと沈んでしまう。
ゆっくり、再び彼のモノで埋め尽くされていく感覚に、それだけで達してしまいそうになった。
「っあ、零・・・ッ」
藁にもすがる思いで腰に添えられている彼の腕を掴んでみるが、その手に力は殆ど入らなくて。
あっという間に沈んだ体は彼の上で座り込み、根元までしっかりナカへと埋め込んだ。
「ふ・・・っ、ぅ・・・」
暫くその状態に慣れる時間が続いたのか、彼が次に動いたのはそれから数分後だった。
「ひなた」
・・・何度目だろう、この名前の呼び方は。
甘く優しいのに、どこか忘れられない切なさや別の感情を感じる。
彼の、覚えろという言葉通り、それすらも教えこまれている様で。
「自分で動いて、イくんだ」
・・・これは、命令?
それとも、諭されている?
いずれにせよ、そんな簡単にできる事ではない。
少なくとも、今の私には。