第95章 決めて※

「･･･ッ」

無理だ、と首を横に振ってみるが、それが無意味な事は最初から分かっている。

ただ、僅かに抵抗心が生まれただけ。

結局私は、彼の言葉に従うことになる。

「動かなければ、辛いのはひなただからな」

･･･零だって。

そんな吐き出せない言葉は、喉の奥で縮こまって。

体は小刻みに震え、呼吸は僅かに整い始めたものの、動けばきっとまた荒くなる。

酸欠気味の頭はフワフワと、浮く様な感覚を体に覚えさせた。

「っ、ぁ･･･」

･･･初めてではないのに。
どうやるのか分からない。

ただ腰を上げ、降ろすだけ。

それだけのはずなのに。

倦怠感以外の、何か名前を付けにくいものが、体を不自由にさせていて。

「･･･ひ、ぅ･･･っ！」

何とか腰を上げようにも、力が入らない。

･･･でも、待った所で快楽は得られるどころか遠のいてしまう。

さっきの言葉を曲げる雰囲気を見せない彼に、この時間は私が終えるまで続けられるのだと悟った。

「･･･っ･･･！」

何か意味があるのだろうか。
どうしてこんな事をするのだろうか。

もう幾度と無く脳裏で繰り返した疑問をぐるぐると回しては、掴んでいる彼の腕を支えにして腰を僅かに浮かした。

「あ、ッ･･･んぅ･･･っ」

そして、一気に降ろす。

奥深くまで飲み込んだそれは、私のナカを満たしていることを痛い程に知らしめてくる。

勿論それは、単なる質量や快楽としてだけでは無いけど。

「･･･ひなたは、もう少し体力が必要だな」

そう言ってくる彼の表情は、苦しそうだが余裕そうでもあって。

この表情に何度も悔しさを感じてきたな、なんて思えば、やはり反発したくなって。

「･･･ッ」

これは、意図的だった。

彼の僅かに歪んだ表情を見て、案外できるものなんだな･･･と、その時初めて知った。

･･･彼をナカで締め上げることに。