第95章 決めて※
「・・・これで、良いの?」
「もう少し、このまま」
そう言うと、彼は静かに瞼を閉じてしまって。
寝ている訳ではないが、その呼吸は穏やか過ぎて別の不安を誘った。
「・・・・・・」
・・・一体、何をさせられているのだろう。
戸惑いは消えないまま、静かな時間だけが流れていった。
「・・・れ、零・・・」
ずっと、彼の上に乗っているのが申し訳なくなってきて。
たまらず、いけない気はしつつも声を掛けてしまった。
「次の我儘を、言っていいか」
「え・・・う、うん・・・」
私の呼び掛けには答えず、瞼を閉じたまま、彼は徐ろに口を動かした。
その言葉に小さく頷くと、ようやく彼の瞼はゆっくりと開かれて。
「・・・わ、っ・・・!」
それに思わず見とれていると、いつの間にか体は再びベッドへと倒されていた。
咄嗟の事にもそうだが、数分前と同じ体勢になっていることにすら、頭が混乱してきていて。
「ひぁ・・・ッ!?」
そんな中、先程まで繋いでいた彼の手が、突然太ももを這ったかと思うと、下着越しに秘部をグッと指で押してきて。
「零・・・っ」
顔は近い。
だからこそ、下に伸びる彼の手の方まで、自身の手が伸ばせなくて。
急な刺激に頭も体もついていかず、ただ小さく小刻みに体を震わせた。
「ひなたのナカに、入りたい」
耳元で囁くその声は、酷く甘く、艶めかしくて。
それに体が反応して、ぴくっと少し大きく震わせると、一気に熱が帯びていくようだった。
「駄目か?」
・・・ダメ、なんて言えない事を分かっていて聞いてくる。
彼はそういう人だ。
ズルいと思いながらも首を横に小さく振ると、彼はどこからともなく避妊具を取り出して。
その行為に、少なからず驚いてしまった。
あまりにも、突然過ぎて。
「れ、れい・・・?」
「どうした」
どうしたも、こうしたも。
もしかして。
という予想はきっと当たっている。
驚きと戸惑いを隠せない中も、彼が手を休めることは無かった。