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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第95章 決めて※




「・・・っ、ん・・・」

こちらが上だから。
彼が私を遠ざけるか、私から身を引くか。

そうしなければ、このキスは終わらない。

終わらない、けど。

「ふ・・・ぅ、んン・・・っ」

終わらせたく、ない。

恋人とのそれなのだから、そう思うのは普通なのかもしれないけど。

でもその思考は、どこか切なさも混じっていて。

「は・・・、ぁ・・・」

彼の、さっきの言葉が。

最後、という言葉だけが。

どうにも脳裏に焼き付いて。

「・・・随分と熱烈なものだな」

こうまでしても、彼の声色はどこか余裕さを帯びていて。

相変わらず、ズルいなと思った。

「満足、できなかった・・・?」

唇を離した後、目を合わせるのが気まずくて、彼に覆い被さるように肩の方へと顔を埋めた。

自分でも、らしくない事をしたな、とは思う。
思い返していると、今更になって羞恥が強くなってきて。

「いいや、ひなたがしてくれる事に意味があるんだ」

意味、か。

「・・・・・・」

深く考えてしまわない方が良いことは分かっている。

でも、無駄に反応する思考回路が、勝手に彼の言葉を拾い上げては考え込んでしまう。

「・・・次の我儘は?」

やめよう。
今は何も考えない。

ただ目の前に居る彼の、我儘を聞く。

それが今、私のやるべき事だ。

「手を、繋いでくれないか」
「・・・手?」

そんな簡単なこと?と、埋め込んでいた頭を起こすと、彼の顔へと視線を向けた。

変わらず柔らかい表情をする彼に、一度大きく心臓を高鳴らせていると、徐ろに目の前へ彼の手が差し出された。

「・・・・・・」

ここ最近で、一番の戸惑いだと思う。

それを感じながらも体を起こすと、差し出された彼の手に自身の手を伸ばした。

握ったその手は、やはりどこか温かくて。

綺麗で長い指だけど、骨ばった手が彼が男性だという事をしっかりと思い知らせてくれる。




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