第94章 強制的
「じゃあ、組織の事を嗅ぎ回っていたというのは」
「本当だ。その為、今は君よりも組織から一番目を付けられていると言っても過言では無いだろう」
・・・あの男も、敵に回してはいけない人物を敵にしたのか。
でも一体、何をしたのだろう。
「得てはいけない情報を手に入れたのだろうな。ジンも目の色を変えて探していると、キールが言っていた」
私の考えを読んだように、沖矢さんはそう言葉を続けた。
ジンに目をつけられた・・・それは立場的には私と似ているが、僅かにズレている部分もある。
「この事・・・ジョディ先生は?」
「今は知っている。でないと、君を万全の体制で守れないからな」
・・・本当に、FBIが守ってくれるんだ。
そして赤井さんが、コナンくんや他の人の前でこの話をするなと言った理由が、何となくだが分かった気がした。
「どうしてコナンくんには嘘をついたんですか」
彼を味方につければ、多少は・・・。
「君もそうだが、こちらとしても一般人・・・ましてや、子どもを巻き込む訳にはいかないんでね」
そう・・・だった。
彼は高校生といえど、まだ子どもだ。
それに、組織の目に触れることは私以上に危険な事だ。
自然と彼を巻き込むような考えになっていた事に、自責の念に苛まれた。
「まあ、本当に子どもだったらな」
コーヒーに再び口をつけながらそう言う彼に、やはりコナンくんの正体を知っているのではないかと軽く睨んで。
・・・コナンくんもいっそ教えてしまえばいいのに、というのは身勝手な考えなのだろうな。
「あの・・・沖矢さんに聞くのは変だと思うんですけど」
沖矢さん、と呼ぶのにも多少の違和感を感じつつ。
ミルクティーを数口胃に流すと、一つ気になっている事を尋ねた。
「公安でこの事を知っているのは、彼だけですか・・・?」
風見さんが嘘をついているようには見えなかった。
でもコナンくんが情報を手に入れたのは、ほぼ間違いなく風見さんからだろうから。
少なくとも風見さんは知らない可能性が高いと言えた。