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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第93章 重ねて※




「・・・!」

そこから立ち上がろうとしたその時、ベッドについていた腕を彼に掴まれ、動くことを止められた。

「どこに行く」
「だ、だから飲み物を・・・」

それはあくまでも言い訳で。
今日はこのまま、事務所としての部屋にあるソファーで眠ろうと思っていた。

「ひなたは、嘘をつくのが下手という事を、自覚していないのか?」

・・・バレてる。
いや、あまりにも不自然過ぎたか。

「どうして、僕を避ける」
「さ、避けてなんて・・・」

これは、避けている・・・というのだろうか。

これ以上、彼の体に負担を掛ける訳にはいかない。
だからこれ以上、私が彼を求める事をしてはいけない。

でもそれは、自分の中の不安を埋める行為でもあった。

数時間前、車内でされたキスに、何かあるのではと疑ってしまった。
それも、その時は味方ではないと判断していた時に。

そして私は、そのキスを拒んだ。
彼を突き離し、逃げるように去った。

それなのに。
今は煽られて自分から求めるなんて。

都合が良過ぎないか。

「ここに居ろ」

・・・命令。
それはここ数日、全く従わなかったもので。

今更従わなくても、同じなのだろうけど。

「・・・何も、しないなら」

これを言った時点で、避けている事を認めたようなものだけど。

立ち上がりかけた体を再びベッドに下ろすと、そのまま彼の隣へと転がらず座った。

「キスも、か」

目は合わせない。
それは意識的でも無意識でもあった。

「・・・キスも、だめ」

そんなの、今してしまったら。

「僕が納得できる、理由があるのか」

そんなの、あるようで無い。
けど、付けようと思えばいくらでも付けられる。

でも彼を傷付けないそれは思いつかなくて。

「い、今は・・・眠るのが先でしょ・・・」

最もらしく言っているが、今すぐに触れ合わせたくて仕方がない。
そんなふしだらな感情でいっぱいで。

でも、かろうじて働く抑制心が、駄目だと脳内に語りかける。

あぁ・・・この感情はあまりにも。

醜過ぎる。





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